【コラム】 東京のあちこちに貼られている「赤ちゃん、泣いてもいいよ」ステッカー

 工場内に、数百個の楕円(だえん)形のガラス容器が置かれている。その中には、人工臍帯(さいたい)でつながった赤ちゃんが収まっている。赤ちゃんの両親とみられる夫婦は、赤ちゃんの脈拍など生体信号をスマートフォンを使ってリアルタイムで確認できる。最近、科学専門のインフルエンサーが動画サイト「ユーチューブ」で公開した「人工子宮についての構想」のワンシーンだ。科学的な実現可能性、倫理的問題などを考えているとき、韓国と日本の国旗が動画に登場した。そうして「日本や韓国など深刻な人口減少に直面している国を支援するため、人工子宮を考案した」というナレーションが流れた。

 韓国で、妊娠可能な女性1人当たりの予想出生児数は、2022年第3四半期の時点で0.79人まで落ち込んだ。さらに大きな問題は、結婚自体をしないということだ。2018年第1四半期から第3四半期までの婚姻件数は18万6147件だったが、2022年は13万8524件と推定される。しかも、結婚しても子どもはもうけない。韓国で、初婚の新婚夫婦のうち子どもがいない夫婦の割合はおよそ46%で、半数近くに達する。子どもがいる夫婦も、子どもの数の平均値は0.66人だ。統計を取り始めて以来、最も低い。少子化は韓国の国家存立に関わる問題と化した。

 「元祖少子化国」日本における最近の出生率は1.3人だ。日本もまた、出生率が急減した時期があったが、2000年代初めごろから反騰に成功した。2060年代には1.5人台まで高まるだろうと予想している。日本で生活してみると、「子どもが育ちやすい環境だ」という考えをしばしば抱く。東京都心部でも、子どもが泥だらけになって遊べる公園が数十カ所も存在する。その一方、大人たちが公園を散策し、子どもたちは木々の間に設置された小屋で遊び回り、小さなたき火でパンを焼いて食べる様子を、渋谷から徒歩30分の距離にある公園の遊び場で見ることができる。

 最近、東京では鉄道駅、バス、公共の場所などあちこちに「泣いてもいいよ」というステッカーが貼られている。子どもが泣き出し、もしや他の人に迷惑をかけるのではと困惑して不安に思う保護者に、笑いかけてやんわり声をかけて励ましてあげよう、という内容だ。幼い子どもを育てている親が「すみません」ではなく「ありがとうございます」とたくさん言える社会になるべき、というわけだ。6年前に東京で始まったこのキャンペーンは、今では「泣いてもいいよ」という言葉を各地の方言にして、少子化の深刻な地方自治体28カ所に広がっている。

 韓国では、数年前に登場したノー・キッズ・ゾーンがじわじわと増え続けている。ある世論調査では、回答者の70%がノー・キッズ・ゾーンに賛成した。一部の無礼な親の問題が、子育てをしている親全体に対する毒々しいまなざしにまで拡大した。出産と育児は切り離せない。科学技術が出産の問題を画期的に解決するとしても、子どもを同伴した親が外出をためらう国で、子どもの泣き声が聞こえることはもはやないだろう。

東京=崔源国(チェ・ウォングク)特派員

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
あわせて読みたい