プーチン政権を批判したロシア最大の食肉加工会社創業者、インドのホテルで不審死…今年だけで21人目

ロシア最大の食肉加工会社の社長が死亡
今年に入って20人以上の企業経営者が謎の死

 英国の日刊紙ガーディアンは「ロシア政府とウクライナ戦争に批判的な言動を行ったロシアの企業経営者が死亡する事態が相次いでいる」として疑問を指摘した。アントフ氏の死にロシア政府が介入した可能性があると見ているのだ。今年1月から最近までに死亡したロシアの企業経営者は合計21人に達するが、その多くがロシアのエネルギー関連業界の経営者で、誰もが共通してウクライナ侵攻に伴う欧米の制裁や企業の経営難に深刻な懸念を表明してきた。

 その代表的な人物がガスプロムバンク元副社長のウラジスラフ・エバエフ氏(51)だ。エバエフ氏は今年4月にモスクワ市内の自宅で妻(47)と末娘(13)と共に銃殺され遺体で発見された。ガスプロムバンクはロシアのエネルギー企業ガスプロムの子会社で、ガスプロムの実質的な金庫の役割を果たしており、エバエフ氏もガスプロムの資金の流れに非常に詳しい人物として知られていた。モスクワ警察は事件直後「遺体が発見された当時、彼の手には拳銃があった」と説明している。エバエフ氏が最初に妻と娘を殺害し、それから自殺したと推定しているのだ。しかしエバエフ氏が自殺した理由については何も説明していない。

 さらに7月にはガスプロム系列の運送会社「アストラ・シッピング」の代表ユーリ・ボロノフ氏(61)がサンクトペテルブルク郊外の自宅プールで頭を銃で撃たれ死亡した。現場には拳銃と複数の薬莢(やっきょう)が残されていた。アストラ・シッピングはロシア有数の運送会社で、ガスプロムと共に北極ガス田の開発に関わっていた。9月にはロシア第2位の石油会社ルクオイルのラビル・マガノフ会長(67)がモスクワ市内にある入院先の病院6階から転落して死亡した。ロシアの司法当局は「マガノフ氏はうつ病の薬を服用していた」として自殺した可能性があるとしているが、欧米のメディアは「マガノフ氏の側近は誰も彼が自殺した可能性など信じていない」と報じた。マガノフ氏は今年3月に会社のホームページで「ルクオイルの取締役会はウクライナ戦争に深い懸念を表明する」として戦争の早期終結を訴えていた。

パリ=チョン・チョルファン特派員、キム・ナヨン記者

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