ソウル中央地検が2021年10月の段階で、南旭(ナム・ウク)弁護士(天火同人4号オーナー)から「金万培(キム・マンベ)氏(火天大有大株主)が『共に民主党代表の選挙法違反事件、『第1工団』公園化無効訴訟など2件を最高裁で覆した』と話していた」などと供述していたことが12日までに分かった。
共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表の選挙法違反事件は、2018年の京畿道知事選で李代表が実兄を精神病院に強制入院させたという論争などで虚偽事実を公表したとして起訴されたものだ。また、「城南第1産業団地(通称・第1工団)公園化無効訴訟」は、城南市長を務めていた李在明代表が同団地を公園化すると表明し、関連許認可の中断を命じたことを受け、再開発を進めようとしていた施行業者が2011年に城南市長を相手取り起こした行政訴訟だ。
選挙法違反事件で二審判決(罰金300万ウォン)が確定した場合、李在明代表は京畿道知事を失職することになり、行政訴訟で二審判決のまま城南市の敗訴が確定した場合、第1工団の公園化と連携して進められていた大庄洞事業に支障が生じることは避けられなかった。いずれも最高裁で判断が変わり、李在明代表に有利な結果が出ており、それを金万培氏が「自身が解決した」と話していたことになる。法曹界では「異例の判決」と評されていた。
本紙の取材を総合すると、南旭氏は当時検察に対し、「金万培氏が『李在明代表の選挙法違反事件を権純一(クォン·スンイル)氏(当時大法官)に依頼し、大法院で(判決が)覆されるよう役割を果たした』と語った」と供述したという。南旭氏はまた、金万培氏がどんな要請を行ったとの検事の質問に対し、具体的な部分には触れず、「権純一氏に頼み、(二審判決を)覆したと言っていた」と答えたという。
南旭氏はその後の取り調べでは「(金万培氏が)18年から権純一のことを少しずつ語り始めたが、19年からは権純一に50億ウォンを渡さなければならないという話を始めた」とし、「判事や検事と数え切れないほどゴルフをしながら、100万ウォンずつ小遣いも渡したと聞いた」と供述したという。
南旭氏はまた、大庄洞事業で金万培氏の最も大きな「功労」が「第1工団の開発施行業者が公園化に反対して、当時城南市長を相手取り起こした行政訴訟の結果を覆したことだ」という趣旨の供述も行っていたという。
南旭氏が供述した21年10月は、文在寅(ムン・ジェイン)政権寄りの検察幹部が大庄洞開発疑惑の捜査を担当していた時期だ。当時は権純一元大法官など司法関係者の名前が挙がったいわゆる「50億クラブ」疑惑が浮上していたいた。しかし、検察は21年11月と12月に権純一元大法官に出頭を求めて聴取した後、捜索などを行わず、事実上捜査をストップした。
権元大法官は大法院の全員合議体(大法廷)が20年7月「7(無罪)対5(有罪)」で審理を差し戻した李在明代表の選挙法事件で無罪の論理を主導したとされる。金万培氏は19年7月から20年8月にかけ、「権純一大法官室」と入館簿に記入し、大法院を8回訪れたが、そこには李代表の事件が大法院に送致される1週間前(20年6月9日)、送致翌日(6月16日)、審理差し戻し翌日(7月17日)も含まれていた。権元大法官は退任後の20年11月、金氏が大株主である火天大有の顧問として就職し、計1億5000万ウォンの顧問料を受け取り、「大庄洞疑惑」が浮上すると辞任した。
これに対し、金万培氏は検察の取り調べで、「そのような意図(裁判取引)で訪問したわけではない」と主張したという。金氏は「法律専門誌A社を買収したかったが、権元大法官が大韓弁護士協会会長と親しいため、A社買収を助けてほしいと言った」とし、「(権元大法官は)火天大有に出勤しておらず、大庄洞開発の現場には3-4回来た」と供述したという。権元大法官は疑惑について、「全く事実無根」との立場だ。
イ・セヨン記者