【朝鮮日報コラム】中国代表としてWBCに出場したら裏切りなのか

 「野球のワールドカップ」と呼ばれるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が今年3月8日から開催される。韓国プロ野球KTウィズの投手で韓国国籍の朱権(チュ・グォン、27)は今大会に中国代表として出場する。初めてのことではない。6年前の2017年WBCでも彼は中国のユニホームを着た。そして、そのことによりひどい目に遭った。当時21歳だった若者は「いっそのこと中国に帰れ」「根本はやっぱり××(中国人に対する蔑称〈べっしょう〉)」などとここに書けないほどの罵倒(ばとう)や冷たい視線に耐えなければならなかった。

 なぜこのようなことが起きたのだろうか。WBCは「野球のグローバル化」という旗の下、父母または祖父母のうち1人の血筋で出場国を決定できると規定している。中国人の父親と韓国人の母親の間に生まれた朱権は12歳だった2007年、韓国国籍を取得した。韓国代表に選ばれなかった朱権は、悩んだ末にWBC出場というキャリアを手に入れるため中国代表チームに合流することを決心した。この規定のおかげで、既に多くの選手が自身の国籍ではなく、父母または祖父母の血筋に基づいてWBCに出場してきた。米大リーグ(MLB)でトップクラスのユダヤ系米国人選手たちが多数出場して「模様だけイスラエルのチーム」と呼ばれたケースもあった。規定が正しいかどうかとは関係なく、これがいつのまにかWBC大会の魅力の一つになった。

 朱権の中国代表チーム合流は前回も今回も問題視されるべきことではないし、非難の対象になるべきことでもない。ところが、インターネット上ではまた非難の声が上がっている。朱権の出場を報道する記事には「怒っています」というアイコンばかりになった。彼の出場はけしからんということだ。野球関連の各コミュニティー・サイトには6年前にも見られたヘイトスピーチ(憎悪表現)がまた出始めている。おそらく朱権という個人ではなく、中国という国に対する嫌悪感情の方が強いのだろう。韓国国籍の選手が米国代表として出場するとしても、このような非難が起こるのだろうか。

 そうした中、韓国系米国人の大リーガー、トミー・エドマン(27)=セントルイス・カージナルス=が韓国代表として出場することが今月4日に事実上、確定した。エドマンの母親は韓国出身の移民だ。米国の記事やコミュニティー・サイトを見ても、エドマンに向かって「いっそのこと韓国に帰れ」「根本はやっぱり××」といった無分別な非難はない。むしろ正反対だ。「motherland(母国)のためにプレーする姿が見られることになって楽しみだ」などの励ましの文がほとんどだった。彼のニュースを伝えた記事には「いいね」がたくさん付いていた。

 朱権は「WBC出場を決心するまでいろいろ悩んだ」「6年前に傷付いたので正直怖かった」と告白した。偶然にも中国は韓国と同じB組に属している。朱権は韓国戦には出場しないそうだ。だが、「韓国代表に選ばれていたら当然、『韓国』の選手としてWBCに出場しただろう」とも言った。

 夢の舞台を追いかける彼は間違っていない。野球は野球として楽しむ時が一番面白い。個人の決定を尊重し、健闘を祈るスポーツ精神を失わないでほしい。

パク・カンヒョン記者

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