【朝鮮日報コラム】「ああ、文在寅」

 韓国語の「ヌンノッピ」という単語は「目の高さ、目線」といった意味で、ある状況や物事を判断するレベルを示す。消費者目線、観客目線、学生目線などといった具合に使われる。いつからか何とでも結び付き、新しい意味をつくり出す流行語となった。ただ、「目線」が「国民」という言葉と結びついて、「国民目線」という単語になった場合は警戒が必要だ。「国民目線」は大統領が愛用する表現だ。「国民目線」という言葉で「自身のレベル」を覆い隠すことが多いためだ。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は2018年11月7日、保健福祉部長官から国民年金改革案の報告を受け、「国民目線に合わない」と突き返した。金宜謙(キム・ウィギョム)青瓦台報道官は、「単なる見直しではなく、全面的に見直せという意味だ」と述べた。彼は「改革案のどの部分が国民目線と合わないというのか」という質問に「保険料引き上げ」と答えた。保健福祉部の改革案は保険料率は9%から12-13%に引き上げる代わりに老後所得に年金が占める比率を40%から45-50%に高める内容だった。こうして国民年金改革は水泡に帰した。

 フランスのマクロン大統領が11日、「今年は年金改革の年にすべきだ」と表明すると、労組は直ちにゼネストを宣言した。ストライキが始まる18日以後、公共交通機関、病院、学校、港湾、空港は緊急事態を迎えることになる。かの国の労組体質からみて、歩道ブロックを破壊して投げ、バリケードが炎に包まれる過激デモも予想される。フランス政府による年金改革案は年金支給開始年齢を64歳に2年遅らせる代わりに支給額を高めるものだ。マクロン大統領は「未来世代に公正で堅実な年金制度を残さなければならない」とし、政府報道官は「ゼネストを恐れない。 政府は最後までやる」と強調した。

 年金については、全ての国の国民目線が同じだ。少なく払って早く、たくさんもらうことだ。しかし、経済原理に反するそうした年金制度は長く持ちこたえることができない。遅かれ早かれ破綻する。先進国または先進国の敷居を跨いだ国は例外なく年金危機を経験した。出生率が低下し、税金を払う労働人口は下り坂にあり、引退した年金生活者が急増するからだ。

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