【萬物相】「私たちの世代が一番不幸」と言う韓国20-30世代

【萬物相】「私たちの世代が一番不幸」と言う韓国20-30世代

 韓国で大学卒業を控えた息子が数日前に「就職がうまくいっていた時代に社会進出を果たした父親は運のいい世代」と言った。80歳を過ぎた父親に「お前たちがうらやましい」と言われたこともある。「お前たちはご飯を食べられた」ということだ。息子は就職を、父親は貧困を基準にそれぞれ両者の間に挟まれた50代を評価した。50代にも言いたいことはある。ベビーブームの終わりに生まれた50代は、競争社会の中で生き残るのが大変だった。2部制、3部制の授業を受け、ある生徒は100人以上が詰め込まれた満員の教室を経験した。激化する入試競争も体験した。大学時代は、ほぼ毎日火炎瓶と催涙弾の中で過ごした。

 「統一と分かち合い財団」がソウル大学と共に20-30代の若者に「生まれてはならない時代に生まれた不運な世代」はどの世代かと質問したところ、67%が自分の世代を挙げたという。「どの世代が時代の流れに最もよく乗っていたと思うか」という質問には50代と答えた。50代は檀君以来最大の好況といわれる1980年代の三安(原油安、物価安、ウォン安)と12%を超える驚異的な成長率を味わった。ここ10年間、9%台の青年失業率で苦杯をなめた2030世代(現在の20代30代の世代)の目には、「全て良し」の世代とならざるを得ない。

 2030世代は「私たちは日本の植民地時代以降、親よりも貧しくなった最初の世代」と言う。ある調査では「親より豊かに暮らせる」という答えが11%に過ぎなかった。経済成長率の下落、就職難、天井知らずに跳ね上がった不動産価格、親世代にとって有利に設計された年金、などを理由に挙げる。何もこれは韓国に限った現象というわけではない。数年前、ポーランドを出張で訪れた際に目にした現地新聞のトップの見出しが「ポーランドの若者、失われた世代」だった。米国の事情も同じようなものだ。

 心理学的には「全ての世代が基本的に世代利己主義的性向を見せ、自分の世代が最も苦労したと感じている」という。自分の経験と価値観で他人と違う世代を評価するからだ。筆者の妻も「50代女性の不幸論」を展開する。「しゅうとしゅうとめに小遣いをあげて祭祀(さいし、先祖を敬う儀式)も取り持つが、後日子どもと嫁には同じことを期待できない世代」というわけだ。

 『強い世代、挟まれた世代、新世代』という本によると、全ての世代はそれぞれ独自の叙事を持っている。「私たちの世代が一番不幸だ」という認識の監獄から抜け出すためには、互いの叙事に耳を傾けるべきと助言する。ある大学生は、2030世代が不幸な理由について次のように説明する。「私が努力すれば、より良い人生を子どもに残すことができるといった希望、私自身もより多くのことを営むことができるといった希望が感じられない」。何も意志が弱いというわけではない。希望を見いだしたがる彼らを、大人の世代がどのようにサポートしてあげることができるのかを考えなければならない。そのために、まずは耳を傾けることから始めよう。

金泰勲(キム・テフン)論説委員

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