【1月28日付社説】大韓民国の子どもたちが将来必ず直面する暗い現実

 国民年金財政推計委員会が27日に発表した国民年金財政推計には50年後、100年後の大韓民国の状況が赤裸々に描かれている。世界最悪の少子高齢化がもたらす大韓民国の暗い将来の姿だ。数年前に国連は「世界人口推計」で「韓国は今後50年間で世界のどの国も経験したことのない『人口の茨の道』を進む」と予想したが、その警告が現実になりつつあるのだ。

 今回の財政推計によると、韓国の人口は今年の5156万人から2050年には4736万人へと420万人も減少する。驚くべきことは、現在韓国の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの推定数)は0.81とすでに世界最低だが、これが2050年までに1.2に改善するという楽観的なシナリオに基づいて計算してもこうなるという点だ。一方でこの期間に65歳以上人口は950万人から1900万人へと1000万人も増える。現在2500万人の経済活動人口(15-64歳)は30年後には1700万人台、50年後には1200万人台にまで減少する。高齢化により経済の活力が失われ、経済成長率は2030年代に1%台、2040年以降は0%台にまで低下し、2060年以降はマイナスに転換するだけでなく、それがさらに60年以上も続くというのだ。これが国民年金財政推計委員会の予測だ。60年もマイナス成長が続けば「漢江の奇跡」は「漢江の没落」になってしまうだろう。

 現在国民年金保険料を支払う年金加入者は2199万人、年金を受け取る受給者は527万人で加入者が4倍多いが、それが2050年にはほぼ同数、2060年からは加入者1251万人に対して受給者は1569万人となり、受給者の方が300万人以上も多くなる。今は経済活動人口の4人が高齢者1人を養っている計算だが、2050年には1.2人が1人を養わねばならない。さらに2055年に国民年金基金が底をついた場合、その後も国民年金を維持するには今の子どもたちは給料の最大35%を年金保険料として支払わねばならない。年金基金がすでに底をついたフランスでは、年金支給を続けるために現役世代が所得の28%を保険料として支払っている。そのため受給開始年齢を2年遅らせようとしたところ、全国民が反対のデモに乗り出した。フランスは長い間先進国だったにもかかわらずこの状況だ。韓国は今すぐ年金改革に乗り出さなければ、フランスよりもさらに深刻な状況になるのは火を見るよりも明らかだ。

 少子高齢化は経済や社会を動かす原動力を失わせ、国の財政基盤を揺るがし、国全体を「収縮社会」としてしまう。生産年齢人口の減少で歳入が減り、その一方で高齢者の福祉や医療費など政府の支出が急速に拡大するからだ。65歳以上に毎月30万ウォン(約3万2000円)を支給する基礎年金に必要な財源は今年22兆ウォン(約2兆3000億円)だが、2045年には100兆ウォン(約11億円)を上回るという。文在寅(ムン・ジェイン)前政権の5年間に国の借金は400兆ウォン(約42兆円)以上も上積みされ、国の負債総額1000兆ウォン(約110兆円)時代がすでに始まった。少子高齢化に対応するための財政余力がさらに失われつつあるのだ。

 今すぐ対策に乗り出さなければ、この問題は必然的に現実となる。全ての分野で構造改革を進め、生産性を高める以外にこれといった方法はない。規制改革を通じて経済を活性化させ、労働改革で生産性を高めなければならない。一生働いても自分の家が買えず、子どもの家庭教師代や塾代で家計が苦しいという状況が今後も続くようでは、少子化問題はいつまでたっても解決しない。住宅問題、仕事の問題、教育問題の解決なしに少子化を克服することはできない。高齢者となる年齢の見直しや定年延長などで社会保障に必要な費用を減らし、女性や高齢者に社会活動への参加を促していかねばならない。

 改革は今すぐ始めなければならない。改革には抵抗と苦痛が伴うが、他に方法はない。改革だけが将来の世代に「より良い社会が来る」という希望を持たせることができる。希望のないところに災いはもっと早く、もっと恐ろしい形で近づいてくるだろう。

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