電子メールで解雇通知は残酷か…米労働者「顔を見て言わなきゃ」

企業「リモート勤務なのにリモート解雇して何の問題があるのか」
グーグル20年勤務社員「早朝のメールで解雇通知、ビンタされた気分」
労働者67%「解雇は直接会って告げて」

 最近、米国の各産業分野に大規模な人員削減の波が押し寄せている中、企業が電子メールで一方的に解雇を通知するケースが急増しており、議論になっている。新型コロナウイルスの感染拡大でリモート勤務が一般化したが、社員・従業員の解雇通知だけは「対面」方式を望む人が多いということだ。

 その代表的な例がシリコンバレーだ。ビッグ・テック(大手情報技術〈IT〉関連企業)業界ではこの1年間で20万人余りが解雇されたが、「残酷なメール解雇通知を受け取った」という経験談が相次いでいる。先月、グーグルは社員・従業員1万2000人を、アマゾンは1万8000人を解雇したが、事前に話はなくメールだけで通知されたという。グーグルに20年勤めたというあるエンジニアは先月31日(現地時間)、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューに「午前5時半に個人のメールアカウントに解雇通知が届いたので、(サイバー詐欺の)フィッシングかと思ったが、会社のメールアカウントに入ろうとしたらブロックされていた」「ビンタされたような気分だった」と語った。

 労働の柔軟性が高い米国で解雇は日常的なものだが、通知を電子メールやチャットアプリのメッセージですることはタブー視されている。だが、新型コロナの感染拡大以降はリモート勤務が増えたため、採用もオンラインで行うケースが急増、企業側としては「採用時のように解雇もオンラインですることに何の問題があるのか」と考えている様子だ。大規模な人員削減をする場合は一人一人と面談する日程が決めにくい上、技術・金融業界では解雇された社員・従業員が会社の機密を流出させるなどして報復できないよう、解雇と同時に社内システムにアクセスできなくするため、奇襲的なメール通知をせざるを得ないということだ。

 一方、アンケート・サービス企業「サーベイモンキー」の最近の世論調査によると、米国の労働者の67%が「解雇通知だけは直接会って、顔を見てすべきだ」と回答したという。「(ウェブ会議サービス)zoom(ズーム)のミーティングで通知を受けたい」という回答は7%、「メール通知がいい」という回答は11%にとどまった。上級者や人事担当者に解雇に関する説明と共にねぎらいの言葉をもらい、これまでたまっていた不満についても話す機会が欲しいということだ。米紙ニューヨーク・タイムズのあるコラムニストは先月31日、「別れ方は人の記憶に一生残る。『人を使い捨て品のように扱う』という声が上がれば、該当企業の評判が台無しになる恐れもある」と書き、企業が解雇通知をメールに頼るのは危険だと指摘した。

ニューヨーク=鄭始幸(チョン・シヘン)特派員

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
あわせて読みたい