米アップルがソフトウェアアップデートで旧型iPhone(アイフォーン)の性能を故意に低下させたと主張する韓国の消費者が集団損害賠償訴訟を起こし、一審で敗訴した。ソウル中央地裁は2日、iPhoneユーザー6万2800人余りがアップルなどを相手取り起こした訴訟で原告敗訴の判決を下した。
【聴く朝鮮日報社説】「日本から盗んだ盗品を返さなかった10年、被害を受けたのは韓国だ」鮮于鉦論説委員(元東京特派員)
アップルは2017年、一部モデルのソフトウェアアップデートプログラムを配布した。ところがアップデートをしたユーザーの間から「アプリ実行に以前より時間かかる」などという声が上がった。アップルがiPhoneの動作速度を故意に下げ、新機種への買い替えを誘導しているのではないかという疑惑も指摘された。
その後、米国など海外ユーザーが集団訴訟を起こし始めた。韓国でも2018年3月に9800人余りがアップルに1人当たり20万ウォン(約2万1000円)の賠償を求めて提訴。以後同様の訴訟6件と合計で原告は6万2800人余り、請求金額は125億6120万ウォンに増えた。
一審は「アップデートによって常時性能低下が発生したかどうかに関する客観的な鑑定結果は存在しない」と判断した。事件を不起訴処分にした捜査機関がアップデートと性能低下の因果関係を立証できなかったという点も指摘した。
アップルは20年、米国での集団訴訟で原告の消費者に1人当たり25ドル(約3200円)、計5億ドルを支払うすることで和解した。チリでの集団訴訟でも21年、アップルは計25億ペソ(約4億1000万円)を支払った。これについて、裁判所は「アップルが長期間の訴訟に伴う費用と時間的負担を避けたもので、性能低下の欠陥を認めたわけではない」と判断した。
兪鍾軒(ユ・ジョンホン)記者