韓米両国が今年春ごろに向け調整を進めて尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の米国訪問について、「国賓訪問」として推進することで原則合意したことが2日までに分かった。
韓米関係に詳しいある消息筋は「韓米同盟70周年を迎え、韓国政府は尹大統領の初めてのワシントン訪問は国賓訪問として推進することが望ましいとの考えを伝え、これに米国政府も同意した」「4月を中心に日程や細かい内容について調整中」と明らかにした。ワシントンで3日(現地時間)に行われる韓国外交部(省に相当)の朴振(パク・チン)長官と米国のブリンケン国務長官との会談でもこの問題が議題になるという。尹大統領の米国国賓訪問が実現すれば、韓国の大統領としては2011年の李明博(イ・ミョンバク)大統領の国賓訪問以来12年ぶりとなる。
国の首脳による外国訪問は「私的訪問」「実務訪問」「公式実務訪問」「公式訪問」「国賓訪問」の5段階に分類されている。ここ10年で米国を国賓級として訪問した外国首脳はフランスのオランド元大統領、日本の安倍晋三元首相、フランチェスコ教皇、中国の習近平・国家主席、フランスのマクロン大統領の5人しかいない。過去の韓国大統領の中では李承晩(イ・スンマン)、朴正熙(パク・チョンヒ)、盧泰愚(ノ・テウ)、李明博元大統領などの6人が国賓として米国を訪問した。韓国のある外交筋は「米国のバイデン大統領は昨年5月に来韓した際に尹大統領と首脳会談を行ったが、それから1年で尹大統領が国賓として米国を訪問すれば、韓米同盟70周年の意味に加え両国の同盟強化を示す象徴的な外交行事になるだろう」とコメントした。
2021年1月に発足したバイデン政権はコロナ渦を理由に対面での首脳会談を自制してきたが、昨年12月にマクロン大統領を最初の国賓として迎え入れた。尹大統領が国賓として米国を訪問すれば、バイデン大統領就任後に国賓として米国を訪問する2人目の外国首脳となる見通しだ。国賓訪問が実現した場合、尹大統領がホワイトハウスに到着するとレッドカーペットの前でバイデン大統領が直接出迎え、21発の礼砲、儀仗(ぎじょう)隊査閲という形で歓迎行事が行われる。さらにホワイトハウス北側の迎賓館「ブレアハウス」が宿泊先として提供され、最高の格式を持つ「ホワイトタイ」を着用して国賓夕食会が開かれる。
韓国政府のある関係者は「尹大統領は訪米を通じ、北朝鮮の核とミサイルの脅威に対抗する米国の拡張抑止(核の傘)の画期的強化、世界的サプライチェーンにおける協力強化、米国のインフレ削減法(IRA)施行に伴う対応策の準備などさまざまな懸案について意見交換するだろう」と予想した。とりわけ尹大統領は北朝鮮の核とミサイル技術の高度化に伴う拡張抑止公約の実効性について、これを画期的に高めることに焦点を合わせるとみられる。尹大統領は前日米国防総省のオースティン長官と会談した際「韓国国民は日々高度化する北朝鮮の核の脅威に懸念を感じている」「この懸念を払拭する実効的な韓米拡張抑止システムが導き出されるよう(両国の国防当局で)協議を行ってほしい」と訴えた。
これと関連してホワイトハウスは尹大統領が先日与党議員らと食事した際「われわれも決断さえすれば6カ月以内に核兵器を製造できる」と発言した問題について、竜山大統領室にこの発言の真意を確認したという。安全保障問題を担当するある韓国政府筋は「尹大統領の発言は韓国国内で高まる独自の核武装論と関連するもので、核拡散防止条約(NPT)体制の尊重という立場から米国と協議した上で北朝鮮の核兵器に対処するという趣旨だ」「米国も韓国国内の世論に神経をとがらせている。そのため拡張抑止など軍事的な措置を強化する方策について頭を痛めているようだ」と伝えた。
ワシントン=金真明(キム・ジンミョン)特派員、崔慶韻(チェ・ギョンウン)記者