【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の地方にある刑務所で食料不足に苦しむ囚人の集団脱獄が起きていることが22日、北朝鮮消息筋の話で分かった。
深刻な財政難により刑務所に配られる食料が不足していることに加え、入ってきても職員などが着服するという。
消息筋によると、昨年末から今年初めにかけ、西部の平安道や黄海道など地方の刑務所から数十人規模の集団脱獄があった。
脱獄者が逃走中に食料を奪おうと強盗や殺人を犯すケースもあり、住民の不安が高まっているという。
北朝鮮当局は集団脱獄が起きた刑務所周辺で、数カ月にわたり住民の夜間通行を禁止し、検問などを実施しているものの、逮捕は容易ではない状況という。
消息筋はまた、この2年間で北朝鮮内の3カ所の地方刑務所で約700人の囚人が餓死または病死したと伝えた。
北朝鮮当局が新型コロナウイルス感染防止のため国境を封鎖したことで、食料難が深刻化し、刑務所への食料配分の状況が極めて悪かったためという。
また刑務所の職員らが囚人の食料を横流しするなどの事例もあったという。
刑務所内で提供される医療環境も劣悪な状況で、殴打や過酷な労働で囚人がけがをしても治療を受けられず、そのまま死亡するケースが多く、また刑務所内で感染症が広がり、数十人が死亡する事例もあったようだ。
韓国政府系シンクタンク・統一研究院によると、北朝鮮には19の刑務所がある。
昨年12月に韓国農村振興庁が公表した資料によると、2022年の北朝鮮の食糧生産量は451万トンで前年に比べ約3.9%減少したと推定される。
最近では、北朝鮮内では豊かな地域とされる開城でも1日に数十人の餓死者が発生したとされる。
このような状況について韓国統一部の報道官は20日、「北の食料事情に関し関係機関で緊密に認識を共有している。一部の地域で餓死者が続出するなど、食料難が深刻だとみている」と述べた。