【朝鮮日報コラム】「トランプと何が違うのか」

バイデン大統領、半導体・電気自動車政策「中国市場放棄」「米国優先」を強調
友好国の協力を得られず失敗した「衛星輸出禁止」から学ぶべき時

 先日、米外交問題評議会(CFR)が「半導体の対中輸出規制」を成功させるためにも、1990年代末の「人工衛星輸出規制」の事例を反面教師とするよう米政府に助言した。要は「同盟や友好国の協力が最も重要だ」ということだ。他の国々を輸出規制に積極的に参加させるためには、米国が「ニンジン」を提示しなければならない。ところが現在のバイデン政権はインフレ削減法(IRA)などで友好国に緊張を与えているというのがCFRの懸念だ。IRAの被害国でもある韓国も、対米交渉のために参考にすべき内容だ。

 90年代末、中国が開発して打ち上げた人工衛星に、米国企業が最先端の誘導システムを提供したという疑惑が持ち上がった。中国の大陸間弾道ミサイルの能力を向上させるのに転用できる技術だった。米国は直ちに措置に乗り出した。衛星の輸出担当省庁を、企業論理を代弁する商務省から国家安保を最優先とする国務省へと変更した。米議会は全ての宇宙産業関連部品と技術を、厳格な統制が行われる軍用物資リスト(USML)に加え、例外を適用するためには議会の承認を経ることにした。事実上、衛星輸出を全面的に禁じたわけだ。中国の兵器開発に必要な先端技術の流出を防ぐため、半導体を「国家安保イシュー」にまで引き上げた現状とそっくりだ。

 米国が意図した通り、しばらく中国の宇宙計画は停滞した。しかし、長続きはしなかった。中国は独自の技術開発に乗り出すと同時に、米国封鎖措置に参加しない欧州から代案を見いだした。欧州の企業が、中国と数億ドル(数百億円)規模の衛星輸出契約を結んだというニュースが連日報じられた。今ではむしろ中国市場を失ってしまった米国の衛星産業が揺らいでいる。90年代末、全世界の衛星輸出で米国が占める割合は73%だったが、対中輸出禁止以降の約6年で25%にまで低下した。「1国のみの制裁」は自国産業にとって足かせとなり、中国の自立度を高める結果を招いた。今、米軍には「10年以内に宇宙分野で中国に追い越されかねない」という焦りのムードが漂っている。

 米国による半導体の輸出統制は、人工衛星の時よりもはるかに広範囲に及んでおり、攻勢的だ。中国による半導体の購入や独自生産を困難にするために、米国の技術や装備を使用する場合は、米国ではなく第三国企業の中国輸出までも制限する。

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