未来カンパニーではエッジグラインダーとホールドリリング以外にも多彩な設備が生まれた。IT機器のフォームファクターが曲線状に変わるなどさまざまな形態となり、直角にパネルの角を加工してきたエッジグラインダーも進化する必要性が生じた。同社はパネルを多彩な形に加工できる「異形グラインダー」を11年に世界で初めて開発した。19年には有機発光ダイオード(OLED)を使ったフレキシブルパネルがスマートフォンに適用されたことを受け、レーザー加工設備も開発した。既存のエッジグラインダーではフレキシブルパネルを加工すると破れてしまうため、レーザーでパネルを加工する設備が必要となったのだ。
新しい技術を採用した設備を相次いで開発し、会社も成長街道を走り続けた。ここ数年間、サムスンディスプレー、LGディスプレー、中国の京東方科技集団(BOE)をはじめとするディスプレー大手が未来カンパニーの研究棟を直接訪れ、発注を決めた。大手企業の受注を獲得し、エッジグラインダー分野で世界シェア首位に立った。
現在の順調な状況とは異なり、開発過程は容易ではなかった。未来カンパニーのキム・ジュング代表は「(当初は)半導体関連企業だっただけにディスプレー加工設備を生産するのは容易ではなかった。多くの時間と費用がかかり、周囲からは会社の財務状況が悪化するから開発を中断しろとも言われた」と話した。顧客を説得し、外部への持ち出しが難しいディスプレーパネルのサンプルを受け取り、設備のテストを行うこともあった。そして、パネルが割れたら、破片をつなぎ合わせて返却する苦しい過程を繰り返した。
機器の微細さと迅速さの両方を管理することも困難な過程だった。キム代表は「パネルを削りすぎると収率(生産品に占める正常品の割合)の問題が生じ、削りが足りないと、クラック(ひび)を完全に除去することは難しい。加工に時間がかかりすぎると、前工程からのパネルの量に耐えられなくなる」と話した。キム代表は「他社の場合、正確さを取り、加工速度をあきらめることもある。それでも我々は完全な装備を作るために最善を尽くした」と振り返った。継続的な努力の末、2年6カ月かけてエッジグラインダーの開発に成功し、その経験はさらなる事業拡張にも大きな原動力になってくれた。未来カンパニーは現在、開腹せずに手術を行うロボット「レボアイ」と自動運転車やロボットの目になる3Dカメラ「キューブアイ」を供給している。
今年のディスプレー・半導体市況が低迷が予想されるが、キム代表はそれもチャンスにしたいと説明した。キム代表は「好況期には生産量を増やし、不況期には研究開発(R&D)に投資し、新技術と設備を早めに準備する。絶えず努力する企業というイメージを定着させ、 信頼関係を維持し、会社の規模も拡大していく計画だ」と話した。
華城=キム・ミングク記者