【記者手帳】韓国ゲーム業界は中国市場ではなく欧米を攻略すべき

【記者手帳】韓国ゲーム業界は中国市場ではなく欧米を攻略すべき

 「韓国ゲームの中国頼みがまた始まりそうで心配です」--。中国政府が最近、韓国ゲーム8作品に対し、中国国内での営業許可(版号)を発給したというニュースを受け、中堅ゲーム会社の役員はそう語った。世界2位の市場であり、韓国ゲームの最大の売り上げ先である中国を放棄することはできないが、中国に過度に期待することの危険性を暗示したのだ。

 中国のゲーム市場が再び開かれた。2017年2月、中国が韓国への終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に対する報復措置として、韓国ゲームに対する営業許可の発給を中断してから約5年ぶりだ。証券業界は「Kゲーム中国市場再奪還」「万里の長城が開かれた」など肯定的な見通しを示している。中国市場の再開放を受け、これまで低迷してきた韓国ゲーム市場に追い風が吹くとの期待だ。

 韓国コンテンツ振興院によると、中国ゲーム市場の規模は昨年時点で448億ドル(5兆9100億円)に達した。 これは世界のゲーム市場規模(2197億5800万ドル)の20.1%を占め、米国に次ぐだ。中国は韓国のゲーム産業に絶対的な影響力を及ぼしている。韓国ゲームの昨年の輸出額は86億7287万ドルで、このうち34.1%に相当する29億5745万ドルが中国向けだった。対米輸出額の3倍に達する。

 ゲーム業界では、異常な中国依存度を下げるべきだとの声が高まっている。韓国ゲームの対中輸出比率は2019年に40.1%でピークに達した後、昨年は34.1%に低下した。しかし、それは中国政府の営業許可発給中断に伴うもので、許可発給再開で韓国ゲームの対中輸出比率は再び40%台まで上昇が見込まれる。

 対中輸出比率が高まれば、韓国ゲームは再び中国政府の影響力に従属することになる。中国政府が営業許可発給を再開したことで、対中売上高が増えた2018年から20年にかけての状況が再現される可能性がある。

 さらに大きな問題は、対中依存度が高まり、韓国のゲーム会社がジャンル多様化の必要性を感じなくなることだ。中国はモバイルロールプレイングゲーム(RPG)の分野で世界最大の市場だ。韓国のゲーム会社が成功を確信できないジャンル多様化ではなく、収益性を高められるRPGの開発に集中することは明らかだ、結局、多人数同時参加型オンラインRPG(MMORPG)からの脱却の流れとコンソールゲーム(モニターやテレビに接続して楽しむゲーム)の開発競争も中国の営業許可発給再開で収まる可能性が高い。

 対中依存度を下げる方法は意外と簡単だ。世界最大の市場である欧米市場を攻略するためのジャンルとプラットフォームの多角化に乗り出すことだ。似たりよったりのRPGジャンルから脱し、欧米で人気があるストーリー中心のコンソールゲーム開発に集中すべきだ。中国政府がいつでも営業許可の発給を中断できることを忘れてはならない。

ユン・ジンウ記者

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