その設備の入手が難しくなれば、中国は28ナノメートル以上の旧型半導体だけしか独自生産できないレベルへと後退することになります。中国の半導体製造装備の自給率は約20%にすぎません。
2020年現在で露光装置の世界シェアは、ASMLが63%、日本のキヤノンが30%、ニコンが7%をそれぞれ占めています。オランダと日本の企業が100%を掌握している市場なのです。中国では上海微電子装備集団(SMEE)が露光装置を生産しているものの、90ナノメートル級の装置だそうです。
■3カ国の世界シェア91%
半導体製造設備の市場全体で見れば、シェアは米国が41%、日本が32%、欧州が18%、韓国が4%(19年時点)などの順です。米日欧の合計シェアは91%です。3カ国が力を合わせれば、中国は先端半導体製造設備市場へのアクセスが事実上不可能になります。
台湾紙の自由時報は今回の規制合意を「核爆弾級の制裁」と報じましたが、誇張ではありません。一部の中華圏メディアは「中国の半導体産業に対する絞首刑」と書きました。
中国は強硬に反発しました。中国外務省は「市場経済原則と国際貿易規則に反する露骨な科学技術覇権主義だ」と批判。昨年12月には米国の半導体制裁が不公正貿易に当たるとして世界貿易機関(WTO)に提訴しました。
■遠のいた半導体自立
今回の制裁は米中競争の過程で起きましたが、中国が自ら招いた側面が少なくありません。中国が昨年兵器用に転用できる半導体をロシアに大量輸出し、欧州の危機感を高めたのです。
オランダはそれまで中国への半導体製造設備の禁輸措置に否定的な立場でした。自国企業の経済的利益に言及し、首相と担当閣僚が露骨に拒否の姿勢を表明したこともありました。ASMLは中国市場での売り上げが全体の約16%を占めています。日本企業も中国向けの売り上げが25%前後に達します。
米国はロシアのミサイルに搭載される半導体部品などを中国が供給している点を挙げ、輸出規制への合流を説得したということです。ウクライナ戦争早期終結のために封鎖措置が必要だと訴えたのです。
中国は年間の半導体輸入額が4000億ドル以上で、原油輸入を上回ります。米国に匹敵する軍事力を構築し、高付加価値産業を育成するには半導体分野の躍進が急務です。中国紙・環球時報は「中国は毎年平均100本の半導体生産ラインを新設しているが、米国の制裁で工場建設を延期するか、旧工程に転換しなければならない状況になった」と報じました。
崔有植(チェ・ユシク)朝鮮日報東北アジア研究所長