北朝鮮が9日発射「新型戦術誘導兵器」に進展 より低高度・短距離に

【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が9日に発射した「新型戦術誘導兵器」(短距離弾道ミサイル)は、飛行軌道の特性上探知が容易ではないことに加え運用方法が多様化していると分析され、韓国軍による対応が難しい可能性もあるとの懸念が出ている。

 韓国軍合同参謀本部の分析と北朝鮮の朝鮮中央通信の報道によると、北朝鮮は9日午後6時20分ごろ、平壌近郊の南浦市周辺から黄海に向けて短距離弾道ミサイルを発射した。北朝鮮メディアは、6台の移動式発射台(TEL)からそれぞれ1発ずつ、計6発を同時に発射する場面を公開した。

 韓国軍は発射と同時に軌跡を探知したが、飛行時間が極めて短かったため、追加分析を経た後に弾道ミサイルの軌跡だったと判断したという。合同参謀本部はミサイルの正確な数を示さず、「数発」と発表していた。

 また、北朝鮮が南方向ではなく西方向にミサイルを発射したため、直接的脅威ではない可能性があると判断し、初期探知が綿密に行われなかったとみられる。

 さらに、北朝鮮は中国に影響を与えかねないことから黄海に向けてのミサイル発射を控える傾向があり、中国で両会(全国人民代表大会と全国政治協商会議)が開催されていることを踏まえると、発射はさらに異例といえる。

 合同参謀本部の関係者は、兵器を密集させて発射するのは戦術的に整合性が取れないとして、13日開始の韓米合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾、FS)」に対抗して意図的に武力を誇示したものとみられると説明した。

 北朝鮮が今回発射したミサイルは、韓国型戦術地対地ミサイル(KTSSM)と類似した兵器だ。砲兵火力の性能と射程を向上させたもので、有事の際に最前線の砲兵部隊から発射される。

 軍関係者は、先月国防部が公開した国防白書で示された北朝鮮の弾道ミサイルの分類のうち、射程距離が最も短い近距離弾道ミサイル(CRBM)にも該当すると明らかにした。

 北朝鮮は昨年4月16日と11月17日にこれに類似したミサイルを発射したが、合同参謀本部の関係者によると、今回のミサイルは過去の例よりさらに低い高度で短距離を飛行したという。

 飛行は正常に行われた点からみて、北朝鮮軍はさまざまな高度や角度で発射実験を行いながら目標に対する運用方法を多様化する方法を研究していると推定される。

 軍関係者は「運用面である程度進展があったとみている」として「以前から変化した部分がある」と説明した。

 新型戦術誘導兵器は、韓国軍が対応に重点を置いているロシア製短距離弾道ミサイル「イスカンデル」の北朝鮮版とされる「KN23」、地対地ミサイル・ATACMSに似た「KN24」、超大型放射砲のKN25など、北朝鮮の他の短距離弾道ミサイルに比べさらに低い高度で短距離を飛行し、韓米の監視網から外れる可能性があると懸念される。

 北朝鮮が昨年4月にミサイルを発射した際、合同参謀本部は翌日に北朝鮮メディアが発射を報じた後になってミサイルを捕捉していたと発表した。

 韓国軍は初期探知情報について公開するレベルではないと判断し、発表を見送ったと説明したが、通常の短距離弾道ミサイルと高度・距離が異なり、直ちに判断がつかなかったとみられる。

 北朝鮮が新型戦術誘導兵器を25キロ前後の低高度で多数発射した場合、レーダー上で軌跡が重なるなどの理由で軍の初期対応が遅れる恐れがある。

 今回の発射では6発とも同じ地点に着弾したわけではないが、方向はおおむね類似していることが分かった。

 一方、合同参謀本部の関係者は「現在の軍の評価からみて、今の迎撃システムで十分対応可能だ」とし、「同時交戦能力が制限される可能性がある点については、長射程砲迎撃システムを戦力化している」と述べた。

 今回の発射場所に内陸の湖の中央地点が選ばれたことも特筆に値する。

 北朝鮮は、南浦市から北に10キロほど離れた貯水池、台城湖に突き出した半島のような場所に移動式発射台(TEL)を設置してミサイルを発射した。

 昨年9月に貯水池の水中発射台から短距離弾道ミサイルを発射した時と同様に、水中からミサイルが発射されたように装うことで発射地点を識別しづらくする意図があったと分析される。

 TELの機動性、低高度飛行、異例の発射地点などによってTELの生存性を高めようと多数のミサイルを発射し、迅速に着弾させる戦術を試みたものと推定される。

 北朝鮮は昨年4月の発射当時、「この兵器体系は戦術核運用の効果を強化するのに大きな意義を持つ」と発表し、小型核弾頭を搭載できると示唆していた。
 専門家らは、今回の新型戦術誘導兵器にも核弾頭の搭載が可能だと分析している。

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