「超純水技術で超格差確保を!」
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は今月初め、慶尚北道亀尾市にあるSKシルトロンの「超純水実証プラント」を訪れ、芳名録にそう記した。世界の半導体競争激化で素材、部品、設備のサプライチェーンがブロック化され、それらの「国産化」が急がれる中、半導体の重要素材でありながらも依然として日本に依存している超純水の国産化現場を訪れて激励したのだ。しかし、現実は異なる。いわゆる「半導体特別法」が国家レベルの投資、育成意向を示した「国家先端戦略技術」には超純水が含まれていない。
超純水は文字通り「不純物のない最も純粋な水」だ。不純物が100%除去することはできず、正確には「不純物が0%に最大限近い水」を意味する。超純水は半導体生産工程でウエハーを洗浄する際に使われる。半導体は繊細なので、洗浄水に不純物が含まれていれば、収率などに問題が生じる。世界の半導体市場がナノ(10億分の1)単位の競争を繰り広げ、回路線幅の微細化が線幅が進むほど、高純度の超純水が注目されるのだ。
超純水の市場は事実上日本の天下だ。日本は1980年代から通商産業省(現経済産業省)主導で半導体研究会を立ち上げ、半導体製造技術とともに超純水生産技術を開発した。栗田工業、野村マイクロ・サイエンスなど超純水業界を掌握した企業はそうした国家的支援の中で成長した。米国も国家安全保障の観点から国防総省がセマテックという研究機関を支援し、半導体・超純水技術に支援を行った。それに対し、韓国はサムスン電子を筆頭とする企業が自力で半導体技術を培った。先を争う半導体競争の中で、韓国企業は市場支配力を高めていったが、超純水だけは日本の先進技術に依存している。
後発ランナーの韓国が超純水の開発に本格的に突入したのは、環境部の課題に選定された2021年6月からだ。設計・施工の100%、素材・部品・設備の70%の国産化を目標にSKシルトロン第2工場に韓国企業が参加する超純水プラントを設置し、最終的にそこで生産した超純水を半導体製造工程に使用するプロジェクトだ。これまで韓国の超純水メーカーの製品は現場への応用ができず、性能検証と商用化が難しかったが、試行錯誤が可能な環境を確保した格好だ。韓国水資源公社によれば、中核技術である設計・施工は現在、プロジェクト開始から1年8カ月で70%まで開発が進展した状態だ。
そんな成果にもかかわらず、超純水は昨年11月、半導体特別法と呼ばれる「国家先端戦略技術法」が定めた先端技術には選ばれなかった。理論上最もきれいな水である超純水技術が確保できれば、浄水技術をはじめ、下水・廃水処理など水産業全般でも輸出を期待できる。大統領の発言通り、超純水技術が超格差確保の足がかりとなるためには、今年上半期に予定される第2次先端戦略技術選定に超純水が含まれなければならない。
パク・サンヒョン記者