12日午後10時9分ごろ、大田市大徳区にある韓国タイヤ大手、ハンコックタイヤの大田工場で原因不明の大規模火災が発生し、地下1階、地上2階建ての第2工場が全焼したほか、物流倉庫にあったタイヤ21万本が焼失した。工場内にいた作業員10人が煙を吸い込んで病院で治療を受け、消防隊員1人も消火作業中に足首を負傷した。同社は火災が起きた第2工場だけでなく、第1工場も含む大田工場全体の操業を中断した。
消防当局は隣接地域の消防要員と装備を総動員して消火作業に当たった。消防士約800人、ヘリコプター9機、消防車両221台、大容量放射砲車などを投入した。タイヤに引火した火が急速に燃え広がり、有毒ガスが大量に噴出したため、消火作業は困難を極めた。大田消防本部関係者は「火災発生から約13時間後の午前11時に火の勢いは収まったが、残り火を消す作業にかなり時間がかかりそうだ」と説明した。
消防当局は第2工場地下1階のタイヤ成形押出機(ゴムをタイヤの形に加工する設備)付近から出火したと推定している。同社のキム・ヨンジン安全消防課長は「火災当時、スプリンクラーと火災警報器は正常に作動したと聞いている」と述べた。消防本部関係者は「火災現場の検証などを通じ、正確な火災原因を調べる」と述べた。
タイヤが燃えたことによる有毒ガスと黒煙が近隣の住宅街に広がり、一部住民が避難した。一時炎は高さ50メートルに達した。近隣のマンション住民は「道路の向こう側に工場が見えるが、『ボン』という爆発音が数回聞こえ、風に乗って火の粉がマンションの花壇にも飛んだ。窓を閉めたが煙と悪臭が室内にも入ってきたので自宅を出た」と話した。工場近隣の新灘津中学校と新灘津中央中学校は火災の影響で13日は休校し、大田以文高は遠隔授業を実施した。
ハンコックタイヤ大田工場が操業を停止したことで、自動車メーカーへのタイヤ供給にも一部支障が懸念される。大田工場は同社の年間生産量(約1億本)の約20%(2000万本)を生産。65%を北米などに輸出している。同社関係者は「韓国国内に錦山工場があるほか、中国、ハンガリーなどに生産拠点があり、供給に支障が出ないようにしたい」と述べた。
禹廷植(ウ・ジョンシク)記者、李スルビ(イ・スルビ)記者