14日、仁川国際空港の到着ロビーはお通夜のように静まり返っていた。今回の2023ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で1次ラウンドB組で3位(2勝2敗)に終わり、組2位チームまでに与えられる準々決勝行きのチケットを逃した韓国代表チームが早々に帰国したが、到着ロビーにはファンよりも報道陣の方が多そうに見えた。午後5時25分ごろから黒いスーツにネクタイを締めた監督・選手たちが次々と現れた。歓迎の言葉は何もなかった。その代わり、カメラのフラッシュがたかれる音ばかりが響いた。韓国代表チーム全員に会えるチャンスだったが、人だかりもなかった。
【写真】仁川国際空港の到着ロビー、ファンより報道陣の方が多かった!?
それでも、ファン数人がサインを求めたが、選手たちは皆、「すみません」と足早に立ち去った。選手たちはまるで罪人のようにうなだれたまま大急ぎで空港を出ていき、ばらばらに散っていった。沈んだ雰囲気の中、選手団を代表してインタビューに応じたのは、硬い表情のイ・ガンチョル監督だけだった。それも、時間にして3分余りだった。
それは、ほんの2週間前とは全く違う姿だった。同空港は今月1日、早朝からファンでにぎわっていた。WBC出場のため合流した米大リーガーのトミー・エドマン(27)=セントルイス・カージナルス=を一目見ようと韓国各地から野球ファンが集まったのだ。エドマンが姿を現すと、ファンたちは「ウェルカム・トゥー・コリア」と力強い声で歓迎した。記者が会ったある中学生は母親と一緒に京畿道議政府市から来たと言った。「これを逃せば会えない選手だと思い、午前5時から待っていた」というこの中学生は、サインボールをもらってニッコリ笑い、疲れた顔一つ見せなかった。このようなファンのおかげで野球というスポーツが支えられ、韓国代表チームが存在するという印象を受けた。
WBC韓国代表チームの帰国を待っていた報道陣は、2014年のワールドカップ(W杯)ブラジル大会と2018年ロシア大会で期待に応えられなかったサッカー韓国代表チームの帰国時の状況が繰り返されるのではないかと懸念した。当時、期待を裏切る成績で早々に引き揚げてきたサッカー韓国代表チームは、一列に並んで空港で解散式を行った。選手団は現場を埋め尽くしたサッカーファンに頭を下げ、次の大会での健闘を誓った。だがその瞬間、選手たちの足元にあめや卵などが飛んできて、ブーイングが浴びせられた。
今回のWBC韓国代表チームは、サッカー韓国代表チームよりもひどい成績だったのにもかかわらず、現場では卵を投げられたり、罵声を浴びせられたりすることはなかった。これといった帰国のあいさつも解散式もなかったため、突発的な状況が起こる余地がなかった。韓国野球委員会(KBO)許亀淵(ホ・グヨン)総裁の姿もなかった。許総裁はほかの日程のため、選手団より遅く帰国したという。
ファンたちは今回のWBCを通じて、韓国野球の恥ずべき真の顔を見た。激励や非難は、これからはもっと良くなるだろうという期待や愛情があってこそのものだ。だがこの日、WBC韓国代表チームの帰国には激励も非難もなかった。関心も冷め、冷ややかな視線が感じられた。愛のこもった批判すらなく、人々が無関心になっている今が韓国プロ野球の最大の危機なのかもしれない。
パク・カンヒョン記者