(アンカー)
過去史に対する岸田首相の直接的な追加言及が欠けていることを巡り、強制動員被害者の側は反発する雰囲気です。ただし、遺族の中には「もうこれ以上、この問題で論争を起こすのではなく、けりを付けるべき」という意見もありました。政界における与野党の反応は、予想していた通り克明に食い違いました。シン・ユマン記者が取材しました。
(リポート)
岸田首相が強制徴用をはじめとする過去史問題について、過去の内閣の認識を継承するとして直接的な謝罪を行わなかったことに対し、一部の遺族側は「当初から期待していなかった」という反応を見せました。
(キム・ヨンファン/民族問題研究所対外協力室長)
「歴代内閣の歴史認識というのは、基本的に強制動員にせよ強制労働にせよ認めないということなのに、それをそのまま…」
ただし、韓国政府の「第三者弁済案」に対する岸田首相の評価を巡っては、立場が食い違いました。
賠償判決を受けた強制動員被害者15人のうち半数ほどは、論争にけりを付けようという立場で
(強制動員被害者遺族)
「もう終わらせないと。何度もこういうこと(賠償問題)を持ち出して終わりなくやるんですか。私も疲れました」
別の被害者側は「真の謝罪と正当な賠償なしに免罪符を与えることはできない」という態度を保ちました。
中でも特に梁錦徳(ヤン・グムドク)ハルモニ(おばあさん)と亡くなった被害者1人の遺族は、日本企業から直接補償を受けたいという立場で、きのう三菱重工業の韓国国内資産を取り立てたいとして訴訟を起こしました。
(梁錦徳/強制動員被害者〈13日、外交統一委〉)
「私は絶対に今、飢え死にしてもそんなお金(第三者弁済)は受け取りません」
政界の反応も食い違いました。民主党は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を含む政府関係者5人を「乙巳(いつし)五賊」になぞらえて「癸卯(きぼう)五賊」と呼び、弾劾にまで言及しました。
(金星煥〈キム・ソンファン〉/共に民主党政策委議長)
「大統領が三権分立を否定して日本の前にべったりとひれ伏しました。弾劾事由とも思います」
しかし与党は、韓日首脳会談が文在寅(ムン・ジェイン)政権の放置した韓日関係の正常化のきっかけになるだろうと歓迎しました。
(金起炫〈キム・ギヒョン〉/国民の力代表)
「竹槍歌ばかり歌い続けて反日感情を国内政治用に使うことにのみ汲々(きゅうきゅう)としていた民主党が…わが政権の解決法をけなし、曲解して…」
テレビ朝鮮、シン・ユマンでした。
(2023年3月16日放送 TV朝鮮「ニュース9」より)