【コラム】フェイクニュースを垂れ流す韓国番組のコメンテーターたち

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 「日本で待ち望んでいる韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は、今は延長措置を中止している状態ですが、韓国の方が先に撤回する、または延長を再開する方式で行われる可能性が高いです。日本国内では北朝鮮のミサイル情報が収集できないという批判が多かったのですが、韓国の情報を速やかに受け取れるため、岸田文雄首相の最も目に見える成果と言えるでしょう」

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 これは、韓日首脳会談が迫っていた10日、韓国KBSラジオの番組で、あるコメンテーターが発言した言葉だが、正確な表現ではない。韓日が北朝鮮の核・ミサイル情報を共有するために2016年11月に締結したGSOMIAは、中止されることなく1年単位で6回更新され、今日に至っている。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が発足した時、ある高官が「正常化という表現はあえて使う必要がない」と話すほど軌道に乗っている。ただし、前政権で起こった「終了通知と猶予」という騒動を整理する形式的手続きが残っているだけだ。

 「韓日関係改善は日本だけに良いことをもたらすもの」という型にはまった考えから抜け出せていないため、判断が鈍る時が多い。13日の韓国MBCラジオの番組では、あるコメンテーターが大統領訪日と関連して、「韓国では国賓訪問だと言っているが、(日本では)実務会談という表現を使っている」と述べた。今回の韓国大統領訪日は12年ぶりに再開される「シャトル外交」の第一歩を踏み出す1泊2日間という短い日程になっている。このコメンテーターは今年4月に行われる国賓訪問の韓国大統領訪米と勘違いしているのだが、結局これを訂正することなく、大統領批判を続けた。昨年11月のMBCの番組では、司会者が「韓日首脳の電話会談に駐韓米国大使が同席した」というフェイクニュースが事実であるかのように出演者に質問する一幕もあった。

 韓国大統領直属の機関である放送通信委員会の「放送メディア利用形態調査」によると、昨年、ラジオを必須メディアと認識している人の割合は2%未満だったという。まさに「オールド・メディア」になっているのに、韓国の政界関係者の間では、政治部記者の一日の日課がラジオ番組を聞くことから始まるほど影響力がある。特に「見えるラジオ」が標準になっている最近では、加工された各種コンテンツが動画共有サイト「ユーチューブ」で軽く数百万回再生を記録する。だが、間違った情報でリスナーたちを扇動したり、ごまかしたりする内容が多い。「保守系」を自称するコメンテーターたちも「批判したら(現在の大統領室があるソウル)竜山から電話が来る」「今年は秋夕や旧正月(日本で言う盆暮れ正月)の贈り物が受け取れないかもしれない」と、自身のコメントを自虐的に評することもある。

 一部の司会者やコメンテーターの偏向性を今さら非難しようというわけではない。ただ、韓国政府・与党がメディアという戦場で負け戦をしているということだ。前政権の文在寅(ムン・ジェイン)政権では長官・次官らが毎朝、左派系ジャーナリスト・金於俊(キム・オジュン)氏のラジオ番組に出演し、「やりすぎだ」と思うほど政策をPRし、メッセージを発信していた。誰かが絶えず出演して広報し、反論を考え出して衝突し、フェイクニュースを訂正すべきではないだろうか。韓国政府は6日、週労働時間を52時間までとする労働時間上限規制を見直し、繁忙期には週最大69時間の労働を認め、長期休暇などを利用して十分に休息を取れるよう制度を改変する案を決定したが、雇用労働部の広報が十分でなく、「労働時間が69時間に増える可能性がある」とだけ伝わり、世論の反発を招いた。それなりの政策を立ててもメディア戦を放棄すれば、現大統領の任期期間中ずっと、この「週69時間勤務制騒動」のようなことが繰り返されるだろう。広報の失敗も政策の失敗だと言ったではないか。

キム・ウンジュン記者

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