【コラム】「米国の反中政策、今後さらに厳しくなる」

 3月2日(現地時間)、米国保守政界最大のイベントであるCPAC(保守政治行動会議)の現場は中国の話題一色だった。ジョー・バイデン政権に対する批判など国内政治よりも、反中問題の方に重きを置いて取り上げた。コロナウイルスが武漢の研究所から流出した可能性が高いという米国FBI(連邦捜査局)長官のインタビュー動画を見た共和党支持者らが大声を上げた。弁士として登場した議員らは、中国の「偵察気球」侵入を巡り、語気を強めて「中国に責任を問おう」と主張した。

 反面、ロシアに関連するテーマは、この日は姿を見せなかった。トランプ前大統領をはじめとする共和党強硬派がプーチン大統領に友好的だということを考慮しても、異例の事態だった。イベントに出席した共和党のアナリストは「これほど一斉に、特定国に対する敵対心を示すのを見たことがない」と語った。それほどまでに、米国が当面する「最大の懸案」とは中国であるということだ。

 これは米国保守だけの雰囲気ではない。民主党のバイデン政権は、先のトランプ政権よりもさらに反中のレベルを引き上げた。民主・共和両党は今年、四つの「中国聴聞会」を超党派で立ち上げ、実行している。経済・軍事・先端技術などあらゆる分野で中国の能力を制限する法案を、両党の議員らが競うように打ち出している。

 そんな中で3月1日、連邦議会下院で、中国の動画プラットフォーム「TikTok」の使用を禁じる権限をバイデン大統領に付与するという共和党の法案に民主党議員が集団で反対票を投じた。議会では「象徴的な事件」という声が聞かれた。民主党が反中の趣旨に反対したからではない。大統領が「中国けん制に積極的ではない」というニュアンスをもたらす政治的法案には呼応しない、という狙いがある。議会関係者は「意見の不一致が大きくなかった中国問題を巡って、両党が『差別性』『鮮明性』競争を本格的に繰り広げるものとみられる」と語った。「共和党の『民主党はひたすら中国に甘い』という攻勢に対して、民主党が別の対中法案を切り出し、対中法案および政策は今よりも一層厳しくなるだろう」という。

 韓国製の電気自動車を補助金の対象から除外するインフレ削減法を巡り、韓国では「同盟を無視するもの」という批判が強まっていた。米国に工場を建てる半導体企業に補助金を支払っておいて、特定水準以上の利益については差し戻させようとする半導体法を巡り、「トランプよりもバイデンの方がひどい」という声もある。「米国か中国か」の選択を強要する米国の要求は、時間の経過と共に強まるだろう。韓国企業の悩みを深くする新たな法案が、きょうあすにも議会を通過しかねない。

 急迫する米国議会および政府の動きへ機敏に対応しつつ、中長期の対外戦略も併せて打ち立てなければならない。だが、政争に溺れる韓国政界に、こうした切迫感があるだろうか。同盟諸国に強要してでも「反中連帯」の側に立たせたいという米国の胸中をきちんと理解しているかどうかも疑問だ。

ワシントン=イ・ミンソク特派員

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