人口減少・成長率低下で相次ぐ「中国衰退論」(下)

人口減少・成長率低下で相次ぐ「中国衰退論」(下)

■中進国のわな

 人口が減る状況で成長率を引き上げるためには付加価値の高い先端技術産業を中心に産業構造を再編し、生産性が低下する国有企業を改革しなければならないが、それさえも米中競争と習近平主席による独裁体制で容易ではない。

【表】米・中・印の出生人口予想と中国の経済成長率推移

 米国は昨年12月、日本、オランダと共同で先端半導体製造設備の対中輸出を全面的に中断し、今年1月には華為(ファーウェイ)に対する半導体輸出を完全に遮断するなど、制裁の手綱を緩めていない。国内総生産(GDP)の320%に達する巨額な負債、急増した高齢人口の扶養負担なども中国経済の足かせとして挙げられる。

 米国の経済学者ポール・クルーグマンは昨年12月、ニューヨーク・タイムズのコラムで「消費が十分ではない状況で、投資と不動産バブルによって支えられてきた中国経済はほぼ臨界点に達した」とし、「早急な生産性向上が伴わなければ、中国はまもなく『中進国のわな』に陥ることになるだろう」と指摘した。

■「繁栄する中国より衰退する中国が危険」

 米国では昨年から専門家を中心に、政界は中国の衰退に備えるべきだとの声が上がっている。中国経済の衰退が早まれば、習近平政権が台湾侵攻など軍事的冒険主義に流れる可能性が高いだけに、それに備える必要があるというのだ。

 外交専門誌フォーリン・アフェアーズは昨年12月19日付の「中国の危険な衰退」と第する記事で「衰退する中国は繁栄する中国よりさらに危険であり、没落する中国が米国にさらに大きな困難をもたらすだろう」とし、「政府は対中政策の焦点を速やかに見直す必要がある」と分析した。

 フォーリン・アフェアーズは「ジョンズホプキンス大のハル・ブランズ教授が指摘したように、浮上する国家が目標を達成する前に衰退し始めれば、第一次大戦当時のドイツや第二次大戦時の日本のように米国を攻撃する危険がある」とし、「習近平主席が独裁者のさやから『民族主義』という矢を取り出せば、『スーパーサイズ』の北朝鮮のように行動するだろう」と懸念した。ロシアがウクライナに侵攻したように、台湾などに対する軍事行動に出る可能性があるとの指摘だ。

 対中政策の見直しを求める主張も出始めている。ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、ブレット・スティーブンス氏は「アジア太平洋地域への軍事力配置を拡充し、台湾侵攻を夢見ることもできないよう抑止力を強化する一方、経済分野では米中双方にとって損害となるトランプ元大統領式の関税戦争は終わらせる必要がある」と書いた。気候変動などの問題で依然として中国と協力すべき事柄が多いだけに、中国をソフトランディング(軟着陸)へと誘導すべきだとの考えだ。

 韓国のように中国経済への依存度の高い国々は戦略の見直しが必要だという指摘もある。アルジャジーラは1月、「中国の高度成長は永遠に終わったのか」と題する記事で、「中国を主な輸出先とする多くの国は需要急減を経験することになるだろう。どれだけ早くインド、東南アジアなどに重点を移すかが勝負を左右しそうだ」と報じた。

崔有植(チェ・ユシク)朝鮮日報東北アジア研究所長

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