韓国海洋科学技術院と原子力研究院が2月16日、福島県の原発汚染処理水を放出する場合、韓国の海域に及ぼすトリチウム(三重水素)拡散に対するシミュレーション結果を公開した。海に溶け込んでいる従来のトリチウムの量は1リットル当たり0.172ベクレルだが、10年後にそれの17万分の1に当たる0.000001ベクレルが追加されるということだ。福島県からの放出水は米国アラスカ、カリフォルニア、ハワイを経て太平洋を大きく一周した後、4-5年後以降から韓半島付近に到達する。その過程で拡散、希釈され、トリチウムの影響は意味のない水準になるというのだ。
福島原発内のタンク1066個には汚染処理水が132万立方メートル保存されている。トリチウムの総量は780兆ベクレルという。シミュレーションでは、日本が汚染処理水を十分に希釈し、毎年22兆ベクレルずつ30年間放出することを前提とした。また、多核種除去設備(ALPS/アルプス)がセシウムなど他の放射性物質は安全な水準までろ過すると想定した。トリチウムは化学的物性が一般水素と同じでアルプス設備では除去できない。
トリチウムは自然界に幅広く存在する。宇宙放射線が成層圏で空気分子にぶつかることでトリチウムが生成される。雨で洗い流された後、川を下って海に入る。毎年新たに作られるトリチウム(5京-7京ベクレル)は福島の年間海洋排出計画量(22兆ベクレル)のおよそ2500倍になる。それでも放射性汚染物質を海にそのまま排出するということで、敏感な反応が巻き起こるのも無理はない。問題は、韓国も原発稼動過程で発生するトリチウムを海に薄めて放出しているという事実だ。特に重水炉である月城原発から多く排出されている。韓国の水力原子力に関する資料によると、昨年韓国の原発のトリチウム排出量は213兆ベクレルに上った。韓国が福島放出予定量の10倍を日常的に放出しているのだ。世界的に見てもカナダの三つの重水炉団地から年間1860兆ベクレル(2021年の福島県の放出予定量の85倍)、英国シェラフィールド再処理設備から1540兆ベクレル(2015年の70倍)、フランスのラ・アーグ再処理設備からはなんと1京3700兆ベクレル(2015年の623倍)のトリチウムを海に排出した。