歴史を忘れて保守化する日本現代史を省察する

歴史を忘れて保守化する日本現代史を省察する

【新刊】與那覇潤著、イ・チュンウォン訳『平成史』(マルコポーロ刊)

 「晴れた空の下、濃い霧が立ち込めていた。これは平成時代の日本社会を振り返るとき、真っ先に思い浮かぶ言葉だ」。本書は平成の天皇の在位期間中、つまり1989年から2019年まで、30年間の日本現代史だ。

 1979年生まれの歴史学者である著者は、当代史に近いであろう本書の時代を、「それすらも遠くなってしまった過去」と表現する。一見すると編年体の年代記のようだが、深い人文学的省察の上に、流麗な文章で政治・経済・社会・文化を縦横に行き来しつつ歴史を叙述する。2013年から14年までを取り上げてみると、ちょうど成立したばかりの第2次安倍内閣、景気回復のためのリフレ政策の失敗、アイドルグループAKB48、宮崎駿の新作アニメ『風立ちぬ』をつなげ、次第に歴史を忘れて保守化していく日本社会の大きな絵を描き出した。

 著者はこう見ている。ベルリンの壁崩壊と共に始まった平成は、左(マルクス主義)と右(昭和天皇)という二つの「父」を失った後、新たに開かれた時代だった。だが最後には、座標と活力を失ったまま「歴史の消滅」を迎える空虚な時代へと帰結してしまった-という。それは、コロナ後の日本がもはや衰退を防ぎ得ない国になったという、日本人としては非常に憂鬱な展望だ。648ページ、3万7000ウォン(約3830円)。

兪碩在(ユ・ソクチェ)記者

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