韓国以上に対中依存度が高くても…報復に屈せず中国に物言うオーストラリア

2020年から米国側についたオーストラリアに対し中国は「報復」のため石炭やワインなどの輸入禁止

オーストラリアは輸出市場の多角化で対抗

 米国に続く世界第2位の経済大国である中国は安全保障問題で韓国に圧力をかけているが、そのたびに韓国国内でよく言われる論理が「安米経中(安全保障は米国、経済は中国)」という言葉だ。韓国は経済の中国依存度が高いため、韓中関係に問題が生じれば経済的に大きな打撃を受けるということだ。

 これに対して経済の専門家は「韓国の中国依存度はオーストラリアや台湾など周辺国ほど高くない。また中国も経済報復による被害は避けられない」「そのため経済を理由に中国に対して従順である必要はない」と指摘する。

 貿易面で韓国の中国依存度は台湾、日本、オーストラリアなど周辺国とさほど大きな違いはない。2022年の時点で台湾の輸出全体に中国向けが占める割合は25.3%、オーストラリアは24.9%といずれも韓国(22.8%)よりも高かった。日本の場合は19.4%と韓国よりもやや低い。

 一時中国依存度が40%近くに達していたオーストラリアの経験を教訓にすべきとの主張もある。オーストラリアは米中対立の狭間で米国寄りの立場を明確にしたため、2020年から中国による経済報復を受けた。しかしオーストラリアは中国の言いなりにはならず、逆に米国によるファーウェイ制裁に歩調を合わせ、また当時のモリソン首相は中国に対し「武漢で発生したコロナの起源と感染メカニズムに対する国際社会からの調査に応じよ」と要求した。これに対抗して中国はオーストラリア産の石炭、牛肉、ワインなど7品目の輸入を禁止した。

 中国による一連の経済報復は失敗に終わったとされている。韓国世宗研究所のキム・ギス首席研究委員は「オーストラリアの石炭は中国の輸入禁止による輸出減少分の多くを韓国、日本、インド向けの輸出を増やすことですぐに克服した。小麦はサウジアラビアや東南アジア、銅は欧州や日本に振り向けた」「これが、国際市場が作動するメカニズムだ」と説明した。オーストラリアの輸出額は2019年の2703億ドル(約36兆2700億円)から2020年には2472億ドル(約33兆1900億円)と小幅のマイナスを記録したが、昨年は4103億ドル(約55兆600億円)にまで急増した。

 韓国と中国の経済分野における分業関係は強固で、中国の経済報復は逆に自らを害する結果になりかねないとの指摘もある。KOTRA(大韓貿易投資振興公社)の関係者は「韓国から中国への輸入品は半導体やディスプレイなどの電子部品、自動車部品、機械部品など高い技術を要する部品が増えている」「韓国製の部品がなければ中国経済もかなりの打撃を受けるだろう」とコメントした。

金成謨(キム・ソンモ)記者

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