MLBの打者をなぎ倒す大谷翔平の魔球「スイーパー」とは

MLBの打者をなぎ倒す大谷翔平の魔球「スイーパー」とは

 メジャーリーグに「スイーパー(sweeper)」旋風が巻き起こっている。普通のスライダーに似ているが、水平に曲がる際の角度がはるかに大きい。まるでほうきで掃くように左右の打者をなぎ倒すことから「スイーパー」という名が付けられた。昨年から大リーグの投手の間で細々とはやっていたスイーパーを今年一挙に有名にした主人公は、日本の「国宝級野球スター」大谷翔平(29)だ。

【図】ますます磨きがかかる大谷のスイーパー

 大谷が2023WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の決勝で、9回最後の打者となった米マイク・トラウトをフルカウントの末、空振り三振に仕留めたボールこそまさにスイーパーだった。当時そのスイーパーの球速は140キロ。左右に43センチも曲がっていた。ホームプレートの幅が43.18センチだから、打者からすると内角ギリギリに入ってきたボールがバッターボックスに到達する頃には外角いっぱいにまで曲がるわけだ。

■大谷のスイーパーはなぜ特別なのか

 スイーパーは一種の変則スライダーだ。ただ、一般的なスライダーの握りに比べて親指をややボールの下に入れる。左右の変化をより大きくする効果を生む。大谷のスイーパーは通常のスライダーが左右に18-20センチほど曲がるのに対し、平均45.7センチも曲がる。大谷はメジャーリーグの投手の中でもスイーパーを特に多用する方だ。大谷のスイーパーの持ち味はその球速だ。スイーパーを投げる他の投手の平均球速は130-132キロだが、大谷は135-137キロに上る。球速が速い上、左右の変化が激しく、球威はアップする。大谷はその気になればスイーパーの球速を140キロ以上にまで引き上げることができるという。MLBドットコムの統計によると、大谷は昨シーズンから今年にかけてこのスイーパーを決め球とすることで89個の三振を奪い、205回も空振りさせている。どちらもリーグ最高だ。大谷の他にもミッチ・ケラー(ピッツバーグ・パイレーツ)、ブラッド・ケラー(カンザスシティー・ロイヤルズ)、マックス・フリード(アトランタ・ブレーブス)などがスイーパーを好んで投げている。

 2018年、メジャーリーグに第一歩を踏み出した大谷は、投手として調整の期間を経て昨年からリーグを代表する活躍を見せている。初めて2桁勝利(15勝)を収め、防御率も初めて2点台(2.33)をマークした。今年は投球術にさらに磨きを掛けている。今季3回の登板で2勝0敗、防御率は0.47だ。19イニングで24奪三振をマークしている。被安打率は0.100だ。1イニング当たりの出塁許容率は0.95。「アン・ヒッタブル(unhittable)」と表現しても過言ではない。

 その恐るべき成長の裏側では、スイーパーという主戦級の武器装着が功を奏している。大谷はメジャーリーグへの移籍後の序盤、160キロを越えるフォーシーム・ファストボール(直球)に大きく依存していた。50%近くを占めていた。しかし、昨年からスイーパーを多投し始めたことで全体の割合が37%と、直球(27%)を初めて上回り、今年はその割合が49%にまで上っている。4月11日、ワシントン・ナショナルズの27人の打者を相手に大谷が投じた92球のうち51球がスイーパーだった。スイーパーに直球、シンカー、カッター、スプリッター、カーブまでを適切に織り交ぜ、ナショナルズ打線を7回1安打6奪三振無失点に抑えた。4月5日のシアトル・マリナーズ戦でも6回を投げ111球のうち49球がスイーパーで、8三振を奪った。

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