ショッピングカートを持ち帰るソウル・江南マンション住民に頭を悩ませる小売店(下)

 続いて「あるマンション団地に回収しに行ったところ、マンションの歩道ブロックが割れるとの理由で(ショッピングカートを)持っていくなと言われた」とし「そもそもカートをマンションまで持っていってしまうことが問題なのであって、開いた口がふさがらない。回収するトラックのエンジン音がうるさいと言われ、トラックも電気自動車に変えた」と吐露する。

【写真】マンション団地内に捨てられたショッピングカートを回収する従業員

 これら住民がショッピングカートを持ち出す理由は便利さのためだ。車でスーパーマーケットにやって来て買い物を済ませ、再びマンション団地に帰ってきて駐車する場合、徒歩で移動するよりも時間がかかってしまう上、駐車場から自宅まで重い荷物を持ち運ばなければならないのだ。

 「使用したカートは必ず指定の場所に返却すること」

 「ショッピングカートは自社の資産であり、外部搬出を禁止する」

 「ショッピングカートを店舗外で使用すると、車輪の毀損(きそん)や安全事故発生の原因となりかねない」

 ニューコア・アウトレット江南店の店内には、こうした案内文があちこちに貼られてあるものの、一部の住民は気にせずショッピングカートを押して帰宅している。

 しかし、店舗内でのみ使用するよう提供されているショッピングカートを、まるで私物であるかのように使用するのは「民意の低さが原因」と指摘する声もある。住民Cさん(34)は「市民意識がこの程度であることにショックを受けている」とし「他人の物を盗んでくるのと何が違うのか。子どもたちがまねるのではないかと思うと恥ずかしい」と顔を赤らめた。次いで「管理費を集めてマンション団地所有のショッピングカートを購入し運営すればいいだけのことを、なぜ他人の物を盗んで行うのか」とし「問題を問題として受け止めていないことがそもそもの問題」と話した。

 一部の住民は、何が問題なのかと開き直っている。むしろ、他のマンション団地もこうしたシステムを一日も早く構築すべきだと声を上げる。10日、ショッピングカートを引いてマンション団地に入ってきた60代の女性は、ショッピングカートを使用したことについて「否定的なことよりもむしろ肯定的な意見が多い」とし「ショッピングカートを使用すれば、時間を短縮することができるほか、ガソリン代も節約できて非常に経済的だ。韓国でもこうしたシステムが導入されるべき」と述べた。

 また別の住民は「スーパーマーケットの立場からすると面倒なことかもしれないが、システムはよく整っている」とし「周期的にカートをピックアップするために店舗側が出向いてくる」という。ある住民は「しばらく(ショッピングカートを)持っていくだけのことであり、皆やっている」とし、一体何が問題なのかといった反応だった。

 近隣のスーパーマーケットや百貨店は、これといった対策を講じることができずにいる。ショッピングカートの持ち出しを禁止すれば、かえってクレームが入り、売り上げに響くのではないかと懸念しているためだ。

 ある店舗の関係者は「ただ毎日回収しに行く以外に方法がない」とし「GPSトラッカー(位置情報追跡装置)を取り付けるなどの方法を考えている。できる限り多く回収するつもり」と話した。

イ・ハクチュン記者、チョ・ヨンウ記者

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  • ▲5月10日午後、ソウル市瑞草区にある蚕院東亜マンション団地内にショッピングカートが置かれている。/チョ・ヨンウ記者
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