ある韓国経営者が経験したフェイクニュースと積弊の烙印【コラム】

 本の内容が信じられないほどだったので、玄氏に会ってみた。「遺書を書く心情で書き始めた」という一文で本を締めくくった理由、ひどい目に遭うことが明らかなのに、文在寅政権下の20年に本を出版した理由も気になった。玄氏は「昨年11月に検察の聴取が終結したわけだから、5年間ずっと苦しめられた」とした上で、「私は堂々としており、何も怖くない」と答えた。続けて「韓国がフェイクニュースで誰でも殺せる社会になってはならない。それを防ぐのが政治家の義務であり、フェイクニュースの流布は国会議員の免責特権対象ではない」と主張した。

 文在寅政権時代には突然、企業家が不意打ちを食らうケースが特に多かった。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の捜査責任者だった李仁圭(イ・インギュ)元大検察庁中央捜査部長の友人である姜南フン(カン・ナムフン)元ホーム&ショッピング社長もそんなケースだ。姜氏が間違った点を敢えて挙げるならば、検察を退いた李仁圭弁護士をホーム&ショッピングの社外理事(社外取締役)に選任したのだ。それによって、姜元社長もさまざまな告訴・告発に苦しめられ、結局採用不正で8カ月の実刑判決まで受けた。姜元社長は21年5月、大法院で無罪判決を受けたが、会社から既に不名誉な形で退いており、がんにもかかり健康状態が急速に悪化したという。

 このような残酷さから多くの人が文在寅政権に背を向けた。気に入らない人物を積弊として追い出し、その人の配偶者や友人まで攻撃の対象とした。あらゆるフェイクニュースも動員した。それでも機関のトップの座に座り続けている文在寅政府関係者を見ると呆れる。

趙亨来(チョ・ヒョンレ)編集局副局長兼経済担当エディター

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
あわせて読みたい