文政権時代に散々な目に遭った金寛鎮元国防相、北の金正日・正恩親子を震え上がらせた罪【コラム】

 実質的な捜査指揮部門は文在寅政権の青瓦台だった。青瓦台行政官は軍の機密資料を令状なしで閲覧した後、2014年に嫌疑なしで処理された軍によるコメント工作疑惑を再捜査させた。インド歴訪中だった大統領が機務司令部戒厳文書の捜査チームを別途結成するよう特別指示した。

 無理に容疑をつくり出した結果、容疑7件のうち5件が捜査段階で嫌疑なしとされた。セウォル号事故に関する事実隠ぺいも一審、二審、大法院でいずれも無罪となった。軍コメント工作事件は拘束、釈放、令状再請求、棄却などを経て、二審で懲役2年4カ月の判決が下された。2011年から13年にかけ、サイバー司令部のコメント78万件のうち約8800件が政治的内容であり、金長官が毎朝提出される報告書10件余りのうち、コメント報告書を読んだという印を残したというのが有罪の根拠だった。たったA4用紙1枚に要約された報告書を読んだとして、1日平均1000件前後のコメント内容をどうやって知ることができたのか納得できない。大法院が一部無罪の趣旨で判断した差し戻し審がまもなく再開される予定だ。金元長官が2018年以降出席した裁判はコメント事件で28回、セウォル号事件で16回の計44回だ。

 金元長官は政治派閥に属する人物ではない。10年12月、長官人事聴聞会を見守った民主党議員からは「長官をよく選んだ」「確固たる姿勢が心強い」という好評が聞かれた。李明博、 朴槿恵政権下で野党を刺激する政治的言動をしたこともない。それでも金元長官に対する令状が棄却された際、当時の国防長官が「幸いだ」と言うと、民主党議員は蜂の群れのように長官を責めた。どうしてそこまで憎らしく見えたのだろうか。

 金元長官が目立った点があるとすれば、北朝鮮の挑発に原則的な対応を取っただけだ。任期5年間、金正恩(キム・ジョンウン)ご機嫌取りに全力を挙げた文政権にとっては、それが大逆罪だったようだ。大韓民国国軍を指揮する司令塔が主敵の首魁を震え上がらせた「罪科」の代償を払わなければならなかった。

金昌均(キム・チャンギュン)論説主幹

【写真】北朝鮮の「わが民族同士」が2013年に掲載した金寛鎮国防長官(当時)を狙った犬の訓練写真

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