韓国の福島視察団「科学技術的検討で意味ある進展」 分析加速へ

【ソウル聯合ニュース】東京電力福島第1原発の処理済み汚染水の海洋放出計画を巡り、現地を視察した韓国の視察団が31日、政府ソウル庁舎で視察の結果を説明する記者会見を開いた。視察団の団長を務めた劉国熙(ユ・グクヒ)原子力安全委員長は「主要設備が設計通り現場に設置されていることを確認し、異常発生時に汚染水の放出を遮断するための手段も確認した」とし、「具体的な資料も手に入れ、科学技術的な検討において意味のある進展があった」と評価した。そのうえで「視察内容を基に、汚染水処理設備の性能が基準を満たしているかどうかを判断するための総合分析を加速させる」と述べた。

 視察団は21~26日に訪日し、福島第1原発を訪れて汚染水を浄化処理する多核種除去設備(ALPS)や処理済み汚染水の測定・確認用タンク、汚染水の移送設備、希釈設備、放出設備、中央監視制御室などを視察した。日本の外務省や経済産業省、東電、原子力規制委員会の関係者らとの会合も行った。

 劉氏は、現地ではALPSの放射性核種の除去性能や長期の安定運用の可能性を重点的に点検したとし、「日本は放出期間を30年としているが、視察団はもっと長くなることまで想定して検討する」と説明した。「視察の過程で東電からALPS入口・出口の汚染水濃度の生データを取得した」とも明らかにした。

 東電が濃度分析を年1回行っている64核種について2019~22年の4年間に運転された設備のデータを取得し、このうち検出履歴の多い約10核種に関しては週1回測定した入口・出口の濃度データを手に入れたと説明した。ALPSが設置された13年以降の8回の故障例に関する資料も入手したとした。

 ALPSで除去できない放射性物質トリチウム(三重水素)の希釈・放出設備に関しては、希釈目標を満たせるよう、海水移送ポンプが十分な容量で設計されていることを確認したと伝えた。

 また、汚染水の移送・希釈・放出設備の設置工事現場も視察したとし、東電が原子力規制委と進める設備の使用前検査や維持管理計画などの資料を取得して総合的な性能判断を下すと説明した。

 汚染水の処理、移送、希釈、放出など全段階を監視・制御する中央監視制御室が停電時も電力供給を継続できる無停電電源装置(UPS)を備えていることや、汚染水を分析する化学分析棟に38台の分析装置があることを確認したとも伝えた。

 劉氏はただ「汚染水の処理設備が設計図通り設置されていることを確認したが、それが性能を保証するわけではない」と述べ、設備の長期の安定運用が可能かどうかについて、故障例を分析するとともにALPSの定期点検項目や維持管理計画を取得して確認していくと説明した。

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