汚染水放出計画で韓日の原子力規制機関が攻防 2年間6回の質疑書に回答4回

【ソウル聯合ニュース】日本政府が東京電力福島第1原発の処理済み汚染水を海洋放出する方針を決定して以降の約2年間、韓国の原子力安全規制を担う独立機関、原子力安全委員会は6回にわたり日本の原子力規制委員会に質疑書を送ってきた。双方は「汚染水」「処理水」という呼び方から海洋放出計画の正当性検証まで、多くの事案で大きな隔たりを見せた。具体的な計画を尋ねる原子力安全委に対し、原子力規制委が原則的な回答にとどめたり、直接の返答を回避したりしたこともあった。韓国国会の科学技術情報放送通信委員会に所属する鄭必模(チョン・ピルモ)議員(最大野党「共に民主党」)が31日、原子力安全委から提出された資料の内容を明らかにした。

 2021年4月13日、日本政府が福島第1原発の汚染水を海洋放出する方針を決定すると、原子力安全委は翌日、原子力規制委に懸念を伝達し、5日後には質疑書を送った。これを含め今年5月までに質疑書を6回送付し、原子力規制委からは今年3月までに4回、答弁書が届いた。今年送った2回の質疑書に対する回答はまだない。

 原子力安全委は21年4月の最初の質疑書で、汚染水の海洋放出による放射線影響評価に適用されるソースターム(評価に必要な放射性物質の種類や量などの総称)がどう決まるのか、汚染水に存在するすべての核種がソースタームに含まれたことをどう確認するかを尋ねた。

 原子力規制委は8月31日の回答で、放出するのは汚染水でなく、多核種除去設備(ALPS)を用いて浄化された「ALPS処理水」だとし、まず用語を問題視した。また、福島原発周辺の放射線被ばく線量は基準値を下回り、人の健康や環境に影響はないため、放射線影響評価は必要がないとの見解を示した。

 サンプリングで汚染水の放射性物質の濃度を分析する場合、それらの値の代表性をどのように検証するかとの質問には、東京電力と原子力規制委による放出計画の検討会合の手順を案内するとした。

 原子力安全委は同年10月に改めて「国際原子力機関(IAEA)が汚染水放出計画について放射線影響評価を重要な安全要素として検討するとしたが、原子力規制委は海洋放出による実際の影響を評価することは必要ないとの立場か」とただした。東京電力は影響評価を実施した上で、放出が海洋環境に及ぼす影響は軽微とする報告書を11月に公表。原子力安全委は「海洋放出を前提とした報告書を示したことに遺憾を表する」とした。

 昨年の質疑書で原子力安全委は、海洋放出の正当性を原子力規制委が検討すべきではないかと尋ねた。これに原子力規制委は、安全性を検討するのみで正当性は検討の対象外と答えている。

 今年2月に送った質疑書では、ALPSの性能点検の周期と定期検査結果の資料、東京電力がALPSでの除去対象とする62核種の試料採取と分析結果などの資料の提供を要請。告示濃度比100分の1未満の核種を測定評価から除外した科学的根拠も尋ねた。これらに対し原子力規制委はまだ回答していない。

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