空襲に備えた「民防衛」訓練を6年間行わなかったツケ…避難所の管理状態もめちゃくちゃ /ソウル

文政権、空襲に備えた訓練せず

空襲に備えた「民防衛」訓練を6年間行わなかったツケ…避難所の管理状態もめちゃくちゃ /ソウル

 北朝鮮が5月31日朝に「軍事偵察衛星」を打ち上げたことに関連し、ソウル市の警報アラートやショートメッセージを受け取った人々は「避難所の位置を知らないので、実際の状況だったとしてもどこに行くべきか分からなかっただろう」と言った。避難所がどこにあるかは民防衛訓練(韓国で行われている有事に備えた訓練)で覚えるものだったが、文在寅(ムン・ジェイン)政権時に訓練が縮小されたことが大きく影響していると指摘されている。

【写真】2017年8月23日に実施された「民防衛」。光化門の避難所には観光客の姿も

 文在寅政権は2017年8月以降、空襲に備えた民防衛訓練を実施しなかった。その理由は、南北が平和ムードになっているから、というものだった。空襲への備えを含む全国規模の民防衛訓練は、5月16日に6年ぶりに再開された。しかし、全国民が参加する訓練を直ちに再開したわけではない。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「政府はこの6年間の未実施を考慮し、まず公共機関から訓練を始め、次の段階として全国民が参加する訓練で正常化の手順を踏むことにした」と述べた。

 本紙が5月31日午後1時30分ごろ、空襲に備える訓練の避難所に指定されたソウル市麻浦区内のビルの地下1階を訪れたが、表示すらなかった。避難所の中にはセメント袋や木の板などの建設資材が積み上げられていた。広さが610平方メートル(約185坪)あり、有事の際には739人を収容できる場所だが、「関係者以外立ち入り禁止」という立て札があり、ドアも鍵がかかっていた。

 同日午前、ソウル市城東区の漢陽大学第3法学館も状況は同じだった。1階ロビーに避難所の案内表示があるだけで、避難行動要領や収容施設についての説明はなかった。ここは918平方メートル(約280坪)あり、最大で約1100人が収容できる。しかし、避難所の中には黄色い長机が10脚余り積まれており、避難者が入れるスペースは33平方メートル(約10坪)程度だった。この建物の関係者は「ここに避難所があるかどうかは聞いたこともない」「何人収容できるのかも知らない」と言った。

 専門家らは「国民の命と直結することだけに、定期的に全国民対象の民防衛訓練をしなければならない」と話す。ソウル市立大学消防防災学科のイ・ヨンジュ教授は「空襲や災害に見舞われるとひどく動揺する恐れがあるため、習慣としておのずと行動できるよう定期的に訓練しなければならない」「不安が膨らむからといって民防衛訓練を避けるのではなく、むしろ訓練を通じて安定感・安心感を高める方法だと考えるべきだ」と語った。

シン・ジイン記者、チョ・ジェヒョン記者、ヤン・スンス記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 空襲に備えた「民防衛」訓練を6年間行わなかったツケ…避難所の管理状態もめちゃくちゃ /ソウル
  • 空襲に備えた「民防衛」訓練を6年間行わなかったツケ…避難所の管理状態もめちゃくちゃ /ソウル

right

あわせて読みたい