金与正「なぜわれわれだけ駄目なのか」…不法な核開発を進める北朝鮮に国際社会は打ち上げ資格認めず

国際海事機関(IMO)などが北朝鮮による打ち上げを非難
「同じ刃物でも家庭では調理器具だが、犯罪者には凶器になることがある」

 北朝鮮労働党の金与正(キム・ヨジョン)中央委員会副部長は1日に談話を発表し「われわれの衛星打ち上げが非難を受けるのなら、米国から始まりすでに数千個の人工衛星を打ち上げた国々は全て非難を受けるべきだ」「他国はどこもやっている人工衛星打ち上げだ。これをわれわれだけが駄目というこじつけの論理は悪辣(あくらつ)な強盗の論理であり、間違っている」と主張した。韓国も先月25日に人工衛星を搭載したヌリ号の3回目の打ち上げに成功したが、国際社会は一切問題視しなかった。

【写真】北が「通常角度でICBM発射」と脅した日…韓半島周辺に米F22とB52

 国際社会が北朝鮮による衛星打ち上げを国際法を根拠に認めない理由は、根本的に北朝鮮は不法な核・ミサイル開発を行っているからだ。宇宙ロケットと大陸間弾道ミサイル(ICBM)はロケットのエンジンが分離される点など原理的には同じ技術だが、専門家は今回の打ち上げを「核兵器を攻撃に使う手段の正確さを高めることが目的」と考えている。いざとなれば偵察衛星ではなく戦術核兵器や戦略核兵器を飛ばせるということだ。梨花女子大学の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「同じ包丁を購入して使うとき、一般の家庭では料理のために使われるが、前科のある犯罪者にとっては凶器になるのと同じ論理だ」と説明した。

 国際社会は核兵器を不法に開発した北朝鮮に人工衛星打ち上げの資格そのものを認めていない。国連安全保障理事会は北朝鮮が最初の核実験を行った直後の2006年10月に北朝鮮制裁決議1718号を満場一致で採択し、北朝鮮に対して弾道ミサイル開発に関する全ての活動を中止するよう求めた。この安保理決議は国連加盟国にとっては国際法に準ずる効力を持つ。韓米両国をはじめとする国際社会もこれを根拠に「北朝鮮による人工衛星打ち上げは成功か失敗かに関係なく、明らかに安保理決議違反」と主張している。これに対して韓国が先月打ち上げに成功したヌリ号は純粋に宇宙ロケットだ。韓国政府は「人工衛星を搭載して打ち上げることが目的」とはっきり説明しており、韓国は北朝鮮のように不法な核開発を行うとか、国際原子力機関(IAEA)の査察を含む管理・監督を拒否する国でもないため、国際社会はヌリ号が軍事目的で利用される可能性は低いと判断しているのだ。

 北朝鮮による衛星打ち上げは全世界が非難している。国際海事機関(IMO)は31日(現地時間)「不法なミサイル発射行為を中止せよ」という内容の決議を事実上初めて採択した。ロシアと戦争中のウクライナ外務省も「韓半島の安定のため国際社会が北朝鮮に圧力を加える努力をさらに強化するよう求める」というコメントを出した。さらに安保理常任理事国の英国とフランスに加え、北大西洋条約機構(NATO)、欧州連合(EU)の外務省に相当する欧州対外行動庁(EEAS)、オーストラリア、カザフスタンなども相次いで非難声明を出した。

金隠仲(キム・ウンジュン)記者

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  • ▲北朝鮮労働党の金与正(キム・ヨジョン)中央委員会副部長/朝鮮中央テレビ

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