共に民主党を刷新するために選ばれた人物は常識外れの陰謀論者だった【6月6日付社説】

 韓国野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は党を刷新する革新委員長に市民運動家のイ・レギョン氏を任命したが、イ氏は就任からわずか半日で辞任した。イ氏は哨戒艦「天安」爆沈やコロナについて事実と全く相反する陰謀論を主張し、反米親中の歪曲(わいきょく)発言を続けてきた。もはや正常と言えなくなった共に民主党だが、党の刷新のため選んだ人物までこのようにおかしな考え方を持つ人間とは、あきれて物も言えない。

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 イ氏はSNS(交流サイト)や寄稿などを通じ、北朝鮮による天安爆沈挑発を「自爆した天安事件の捏造(ねつぞう)」と主張した。天安の乗組員が自ら爆弾を爆発させ、船を沈没させたというのだ。もちろんさまざまな事故説は他にもあるが、それらのデマとも次元が異なるあり得ない主張だ。犠牲になった乗組員はもちろん、生き残った乗組員たちをも侮辱し踏みにじるような主張を展開する人物に、国会を掌握している多数党を刷新させようとしたのだ。

 イ氏の荒唐無稽な発言はこれだけではない。中国から流入したコロナについては「震源地は米国」と主張した。中国共産党の主張をそのまま伝えたかったようだ。ロシアによる一方的な侵略から始まったウクライナ戦争は「ウクライナのゼレンスキー政権による挑発から始まった側面がある」と指摘した。米国に対しては「悖悪(はいあく、道に外れること)でヤクザのような行動をしている」と批判し、中国には「コロナ科学防疫」「発展する現代中国」と賞賛している。韓米合同軍事演習も「直ちに中断せよ」と要求した。まともな考えを持っているのか質問したいほどだ。

 イ氏は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を「尹家」と呼び、「ゾンビ」「無能児」「暴力団の群れ」「犯罪集団」などとも侮辱している。李在明代表には「見れば見るほどしっかりしていて博識で、清潔な人」と賞賛した。こんな人間が共に民主党を刷新すれば、その時から党がどうなるか火を見るより明らかだろう。そのため共に民主党内からも「過激な言行や陰謀論に傾倒した人物」として任命の撤回を求める声が相次いでいた。

 共に民主党が革新委員会の設置を決めた理由は、李代表による数々の不正に対する捜査や裁判、党代表選出に当たっての贈収賄事件、金南局(キム・ナムグク)議員の暗号資産問題、政治ファンダム(熱心なファンの集団)などの問題を解決し、党を換骨奪胎するためだった。しかしこんな人物を革新委員長に就任させるようでは、「刷新は見かけだけで実際は李代表を守ることが目的」と言われても反論できないだろう。最終的にはイ氏自ら辞任することで騒動は幕を下ろしたが、共に民主党のネロナムブル(私がすればロマンス、他人がすれば不倫=身内に甘く、身内以外に厳しいこと)、不正非理、立法暴走、ポピュリズムが変わることはないだろう。

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  • ▲韓国野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は5日、党を刷新する革新委員長に市民運動家のイ・レギョン氏を任命した。/NEWSIS

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