韓国も海に恥ずかしいものを捨てていた時期があった【コラム】

1988年から27年間、毎年600万トンを投棄
福島汚染水の放流は不愉快なことだが、「安全」という国際判定が出たら隣国の事情に理解も示すべき

 英国の環境ジャーナリスト、ジョージ・モンビオットは2011年3月、福島第一原子力発電所の爆発事故から10日もたたない時期に「福島の事故が私を原子力支持者にした理由」という記事を書いた。あの事故で致命的な放射線にさらされた人は誰もいないということを知り、それからは原子力支持に転じたという。モンビオットは、おそらく世界で最も影響力のある環境専門家だ。主張と説明の一つ一つに根拠となる科学論文を付ける、厳格な実証主義者だ。彼は自動車事故に巻き込まれて死んだ動物からのみ動物性たんぱく質を摂取し、数年に1度だけ飛行機に乗る。肉食と飛行機旅行は気候崩壊を促進するという確信があるからだ。そんな徹底した環境実践家が原発の爆発直後、世界が恐怖に陥っていたそのとき、本質を突く分析を打ち出した。

 彼の直感は、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の28カ国の専門家80人が、およそ2年にわたる調査の末、2013年に出した事故報告書で科学的に立証された。放射線被ばくによる死亡者は1人もおらず、福島の放射能汚染地域で一生暮らしてもCT1枚撮るレベルを少し超える程度の放射線に追加被ばくするだけ、というものだった。

 韓国も、まずい汚染物質を海へ持っていって捨てていた時代があった。1988年から群山、浦項、釜山の沖合に大量の汚物を投棄してきた。畜産のふん尿、下水のスラッジ(汚泥)、食品加工の残りかすなど、高濃度の有機物だ。陸地では処理施設が足りず、海に捨てるのであれば費用があまりかからない。2015年まで27年間、年平均600万トンを公海に捨ててきた。広い大海の拡散力、自然浄化力を信じた。

 汚染処理水を海へ流したいという日本の肩を持とうというのではない。腹は立つし、日本は恥じるべきだ。しかし日本も、やむを得ずそうしようとしている。隣国や世界に大きな借りを作る行為だ。ただ、それによる汚染は韓国人が心配するほど生態や健康に負担をかけるものではない、という科学研究がある。相手が、他に方法がなくてろくでもない手を打つとき、それを取り上げて悪口を言うこともできるし、相手の事情を勘案して助ける気持ちで理解してやることもできる。国際原子力機関(IAEA)の「安全」判定が出たら、長い目で見てどちらが韓国にとって得になるか考えて、判断する必要がある。

韓三熙(ハン・サムヒ)先任論説委員

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