1291万人が受験した中国の大学入試「高考」…どのように採点するのか

 7日から9日まで三日間行われた今年の中国の大学入試(高考)では、過去最多の1291万人が受験した。全国統一で大学入試を実施する高考では作文試験もある。ところで、この多数の受験者をいかに採点し、その基準は何なのだろうか。

 高考の答案用紙は、客観式(選択式)については電算判読装置で、主観式については3年以上の経歴がある50歳未満の高校教師および博士課程の学生が採点する。答案用紙は中国教育部(省に相当)教育考試院が一括してとりまとめ、採点場となる各省・直轄市の主な大学のコンピューター室へと送る。北京の場合は北京大学・清華大学などわずか6校で採点を行う。採点場での電算判読装置の作動は、中国公安(警察に相当)が監督する。

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 主観式(記述式)の答案は、全てスキャンを行った後、各採点官がインターネットにつながったコンピューターで3、4問ずつ引き受けて採点する。同じ問題を2人で採点し、点数に差があれば第三者が再び採点する。高考の採点には八日から十日を要する。今年、北京で選抜した採点官は1300人で、大部分の省では3000人以上を雇った。

 総得点の8%を占めるほどに比重が高い作文は、採点基準がいささか主観的だ。主題意識、内容、言語、文体という4つの基準で評価するのだが、受験者が非常に多いので1件の採点にかける時間は30秒から1分ほど。採点に先立ち、各採点場の採点官は会議を通して「理想的な答案」を確定させ、基準にする。重視しているのが「健全な思想」だ。文章に現れる「思想」が健全ではないと判断されたら、たちまち下のランクに落ちる。

 高考の作文試験は、徐々に政治色が強まりつつあり、採点過程でも「政治的に正しい思想」を次第に高く評価するようになっているとの分析がある。2017年までの時点では、杜甫の詩や魯迅の小説などを独創的に解釈して新しく作文せよ、という問題が出ていた。今年は、習近平国家主席の語録を分析して作文させた。中国の現体制を批判する文章を書いたら、最低ランクの評価を受ける可能性が高い。習近平主席が長期にわたり政権を固める中、大学入試も思想教育に活用しているわけだ。

 採点の結果、作文問題で満点を取った者が出ると、非公式に別の地域の採点官が再評価を行うといわれている。このため満点が出るケースは極めてまれで、作文試験で満点を取った学生は「状元(科挙の首席及第)」のような待遇を受けてスターになることもある。

北京=イ・ボルチャン特派員

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