力を誇示する中国の「戦狼外交」、世界各地で過激発言連発…比・仏・日でも摩擦

力を誇示する中国の「戦狼外交」、世界各地で過激発言連発…比・仏・日でも摩擦

 中国のケイ海明駐韓大使が8日、韓米同盟外交を批判し、「誤った賭け」などという過激な単語を使ったのは中国の「戦狼外交」戦略の典型例だ。戦狼外交とはオオカミのように強い力を対外的に誇示することを指し、中国の愛国映画「戦狼」に由来する。台湾統一、少数民族問題など「核心的利益」で強硬な立場を守れという習近平国家主席の意向で本格化したが、一部大使の発言がますます過激化し、「外交事故」が相次いでいるとの指摘もある。

【表】日本とカナダで物議を醸した中国外交官の発言

 今年に入り世界各国に駐在する中国大使による「過激発言」競争が起きた。黄渓連駐フィリピン大使は4月14日、「台湾に住むフィリピンの労働者15万人を本当に心配するならば、台湾独立を明確に反対しなければならない」と述べ、フィリピンの労働者を人質に取る発言で物議を醸した。同月21日には盧沙野駐仏大使がフランスの放送局LCIのインタビューに対し、「クリミア半島は歴史的にロシアの領土の一部だった。旧ソ連国家は国際法上有効な地位がない」と発言した。旧ソ連から独立したバルト3国(リトアニア・ラトビア・エストニア)が盧大使の発言に直ちに抗議し、欧州議会の議員80人余りは盧大使を「ペルソナノングラータ」(好ましからざる人物)に指定するよう要求した。呉江浩駐日大使は就任直後の4月28日、東京での記者会見で「台湾有事はすなわち日本の有事」という日本政府の立場を批判した。「日本の民衆が炎の中に連れ込まれるだろう」と述べた。

 中国大使の過激発言の背景には習主席の指針もあるが、「静かな外交」を展開すれば内部競争で遅れを取りかねないという危機感も働いているとされる。外交部報道官時代から「戦浪外交」の象徴とされてきた秦剛元駐米大使が昨年末、外相に就任して以降、大使の発言はさらに極端なものになっている。一時は戦浪外交の代表的存在である趙立堅氏が外交部報道官を退き、盧大使の発言が国際的な問題になるなどしたことから、発言の過激度が下がるとの見方もあったが、ケイ大使の今回の発言でそうした期待は水の泡となった。

 中国人が中国大使の強硬な発言をあおる側面もある。数年前から中国外務省に「カルシウム栄養剤」を送るのが流行している。これは「カルシウムを摂取し、骨を強くして、度胸(中国語で骨気)を持って他国に接する」という意味がある。中国の外交官は「今もカルシウムを送る人々がいる」「外交官が譲歩したという非難が少なくなく、内部政治のためにも強硬発言をするしかない」と話す。領土が大きく人口が多い国でありながら、外国勢力の侵略を多く受け、歴史の雪辱を果たしたい中国人の心理が戦浪外交に対する支持として表れる。特に中国で愛国主義教育を強く受けた「00後(2000年以降生まれ)」など若年層でそうした傾向が強い。

 中国外交官のゲリラ式「暴言戦術」が米国の包囲網に閉じ込められた中国外交の突破口と思われているとの分析もある。韓日米の接近で疎外された局面で、中国大使の強硬な発言が中国に対する関心を呼び起こし、存在感をアピールしているとの見方だ。

北京=李伐チャン(イ・ボルチャン)特派員

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