イーロン・マスク訪中に見る米国のダブルスタンダード【朝鮮日報コラム】

 「馬兄」という愛称と共に中国政府・国民から熱い歓待を受けた、テスラ社CEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏が中国で見せた動きは、あまたの話題を生んだ。米国と中国の関係をシャム双生児(体の一部がくっついた状態で生まれた双子)になぞらえて中国を持ち上げたかと思えば、中国最大のバッテリーメーカーCATLの曽初から最後まで一貫して、米国の政策基調とは合わない言行を続けた。

 イーロン・マスク氏がしばしば取る突出行動だとするには、その始まりが釈然としない。今年、コロナ封鎖令が解かれるや、すぐさまアップル、インテル、ゼネラルモーターズ(GM)、スターバックスなど米国の巨大企業のトップが中国を訪れた。イーロン・マスク氏と同じ時期に中国を訪れた「ウォール街の皇帝」JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO(最高経営責任者)は「中国に害を及ぼしてはならない」と語った。グラフィック半導体世界トップの企業、NVIDIAのCEOで、6月に訪中する予定のジェン・スン・ファン氏も「中国を過小評価してはならない」と、米国政府に対する警告のようなメッセージを発信した。

 ところが、米国政界の反応は奇妙だ。実業家らの相次ぐ訪中について、特に言及はしていない。国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官が5月31日、「こうした訪問が経済的競争を処理する上で助けになるかどうかは見守らなければならない」と、多少留保的な評を下したにとどまる。企業の事情を知らないわけでもないのに、与党・野党と問わずこの件については「なかったこと」のように目を向けることなくやり過ごすつもりなのだ。

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