イーロン・マスク訪中に見る米国のダブルスタンダード【朝鮮日報コラム】

 対中貿易制裁で損害を被っているのは米国企業だけではない。同盟国の企業もつらさを堪え、「泣きながらからしを食らう」ような思いで米国主導の経済安全保障体制に加わり、中国からの過酷な報復に耐えている。米国の政治家は、同盟国には、わずかな隙が生じただけでも厳しくむちを振るう。5月21日、中国が米国の半導体企業マイクロンの製品を自国市場から退出させると表明すると、そのすぐ2日後の5月23日に、マイク・ギャラガー下院議員(米中戦略競争特別委委員長)が韓国を挙げて「われわれの同盟国がマイクロンの空席を埋めるのは阻止せねばならない」と発言し、公に韓国企業を圧迫したのがその代表例だ。

 大衆的な人気と強大な力を享受している米国巨大企業に触れるより、相手にしやすい同盟国をたたいて政治的立場とメッセージを強固にしよう-というのが、ごく自然な政治の生理だというのは理解できる。しかし米国は、単に利益の観点からにとどまらない「価値の同盟」を掲げて同盟国を対中制裁に参加させてきた。肝心の米国内から、実質的な損益を問い詰める不満が出てくると、口を閉ざして知らぬふりをするというのはひきょうだ。米国企業が今のように、自分たちの利益のために独自の路線を展開し続け、米国政府がこれを放置するのであれば、同盟国が完全に米国を信用して付いていくことができるだろうか。

リュ・ジェミン記者

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