日本は今月中に原発汚染水放出設備の工事を終え、国際原子力機関(IAEA)から特に指摘がなければ、今夏から処理された汚染水を海に放出する計画だ。汚染水のうち、核物質である「トリチウム(三重水素)」の予想放出量は年間22テラベクレル(TBq)前後だ。これは中国が西海(黄海)など自国の近海に毎年放出するトリチウム(1054テラベクレル)の48分の1に相当する。しかも、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の2021年4月、鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官=当時=は国会で「IAEAの基準に合う手続きに従うなら、日本の汚染水放出には反対しない」と述べている。
それにもかかわらず、韓国で突然、このような天日塩品薄騒動が起こっている背景には、極端な「陣営論理」があると指摘されている。
共に民主党ソウル市党は先月10日、各地方区あての公文書で、「党代表の指示事項として、福島汚染水に反対する横断幕の掲示数の報告を受ける」と通達した。それ以降、ソウル市内のあちこちに横断幕が掲げられているが、これには「福島汚染水放出 食卓で 塩の心配 どうしよう」という横断幕もあった。
すると、「CLien」「82 cook」など共に民主党を支持する傾向が強いコミュニティー・サイトで反響を呼び始めた。当初、8日ごろは「塩くらいは備えておくべきかな」「汚染水を放出する前に塩を買おうと思うんだけど…」などの書き込みが主だったが、最近は「天日塩20キログラムを5袋買いました」「MBCニュースを見てすぐ天日塩20キログラム購入しましたよ」などの投稿が掲載されている。
品薄現象が現実になると、「汚染水怪談」を信じていない消費者も塩の買いだめに加わっている。この日、ソウル市城東区のある大型スーパーで5キログラム入りの天日塩を購入した主婦(67)は「海水というのは世界中を回るものだ。本当にそんなに危険ならよその国が黙っているだろうか」と言いながらも、「放射能が怖いからではなく、買いだめのために起こる値上げが怖くて私も買いに来た」と言った。
張祥鎮(チャン・サンジン)記者