180度異なる待遇を受ける韓国と中国の大使【コラム】

 韓国野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表がケイ海明・駐韓中国大使(ケイは刑のつくりがおおざと)と面会するため中国大使公邸を訪れたその日、中国駐在の鄭在浩(チョン・ジェホ)韓国大使は北京から1200キロ離れた寧夏回族自治区で張雨浦・党書記(道知事格)に面会するため待機していた。韓国では野党の代表が中国大使に会うため大使公邸に出向いたが、中国では韓国大使が地方の官僚クラスに面会するため出張したのだ。

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 中国における鄭大使と韓国におけるケイ大使の待遇は180度違っていた。昨年8月に鄭大使が中国に着任してから直接面会した長官クラス(地方政府党書記を含む)以上の人物はわずか3人だ。昨年8月に韓中修好30周年記念行事の夕食会場で王毅・外交部長(当時)と顔を合わせた以外には中央政府高官とは一人も面会していない。現職の官僚ではない高官(林松添・中国人民対外友好協会会長、王超・中国人民外交学会長)へと範囲を広げても5人ほどだ。

 今年4月には中国吉林省党書記と面会する予定だったが、これも一方的にキャンセルされた。習近平・国家主席に信任状を奉呈する席でも「70人の各国大使と共にベルトコンベアに乗っているようだ」と報じられた。

 これに対してケイ大使は同じ期間に李在明代表をはじめ、副首相を含む長官クラス以上と少なくとも7人会った。長官や検察総長が新たに任命されたときはすぐ面会し、国会議員(次官級)などとは一度に複数人と面会している。

 ケイ大使は韓国政府の最高位クラスと簡単に接触でき、レベルの高い情報を多く確保しているが、鄭大使が何らかの情報を得るには次官級の外交部(省に相当)カウンターパートや国際団体、他国の外交官らに会ったときに耳打ちしてもらわねばならない。

 二人の大使が駐在国で受ける異なった待遇は、韓国と中国がそれぞれ持つ相手国への認識とその現実を余すところなく示している。韓国では反中感情が高まっているが、それでも中国経済への依存度は高く、北朝鮮問題においても中国に一定の役割を期待する心理がある。これに対して中国では韓国の存在感が時間がたつほど小さくなっている。外交関係者の間では「国際社会における韓国の重みは増しているが、唯一中国でだけは韓国に対する認識が過去と同じにとどまっている」と言われている。

 ケイ大使が韓国でVIP待遇を受ける理由がもう一つあるが、それは政界の一部が彼を利用したがっているからだ。米国、日本との関係強化を目指す今の政権に対抗するため野党はケイ大使にマイクを握らせ、ケイ大使の権威を韓国の政界で高めた。その結果、局長級の大使が駐在国の野党代表の面前で「中国の敗北に賭けることは明らかに間違っている」「後から必ず後悔するだろう」と訓戒する場面が演出された。

 韓中交流と両国の意思疎通を活性化させるためにも、韓国はケイ大使への過度な待遇をやめるべきだ。今年の年末に韓国で開催される可能性が高い韓中日3カ国首脳会議を前に、韓中両国の外交当局による意思疎通はこれまで以上に重要になっている。国を代表する大使への処遇にこれほど違いがあってもよいのだろうか。

北京=イ・ボルチャン特派員

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  • ▲中国駐在の鄭在浩(チョン・ジェホ)韓国大使(左)と中国外交部(省に相当)の孫衛東・副部長/中国外交部

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