死亡した性犯罪者を助けた人物まで断罪する米国、性犯罪者を美化する韓国【6月15日付社説】

 米大手銀行JPモルガン・チェースが性犯罪で有罪となった実業家ジェフリー・エプスタイン元被告による買春資金取引を助けたとして起訴され、被害者に和解金2億9000万ドル(約406億円)を支払うことを決めた。 ドイツ銀行も同じ理由で7500万ドルを支払うという。億万長者のエプスタイン元被告は2019年収監中に自ら命を絶ったが、死後も犯罪に関与した周囲に対する断罪が続いているのだ。

【図】児童性犯罪者エプスタイン元被告に関与した有名人

 エプスタイン元被告は2008年、未成年者に対する性犯罪で1年1カ月服役したが、JPモルガンは元被告との金融取引をやめなかった。元被告はJPモルガンなどを通じ、未成年者に性行為の見返りとして巨額の金銭を振り込んだという。JPモルガンの社員が監査部門に「疑い取引」として通報したが、経営陣は措置を取らなかった。

 裁判所は被害者の証言を聞き、JPモルガンの役員を法廷に立たせ、最後まで責任を追及した。過去にエプスタイン元被告と交際があった英国のアンドリュー王子、実業家のビル・ゲイツ氏など政財界の有力者は相次いで辞任、謝罪した。元被告から多額の支援を受けた大学の学長や教授も同様だった。米国が性犯罪者が死亡した後も周辺の責任を問うのは「そのまま覆い隠せば、再発を防ぐことはできない」と考えているためだ。

 韓国はそれとは正反対だ。朴元淳(パク・ウォンスン)元ソウル市長が女性職員に対するセクハラ疑惑で命を絶つと、民主党は朴元市長を「クリーンな方だった」と称賛した。被害者を脅したりあざけったりした。民主党の女性議員は「被害呼訴人(被害を訴える人物)」という奇怪な用語をつくり出した。米国ならば彼らも巨額の賠償金を払わなければならなかっただろう。警察は朴元市長の側近とソウル市幹部によるセクハラほう助容疑に免罪符を与えた。被害者側の証拠や訴えは黙殺された。国家人権委員会と裁判所が朴元市長のセクハラを公式に認めたにもかかわらず、一部の人々は朴元市長を一方的に擁護するドキュメンタリーまで製作した。彼らは「性暴力は全くなく、被害者が勝手に話していることだ」と被害者に対する攻撃をためらわない。

 米国のように朴元市長の死後も真実を解明し、周囲の責任を問うていたならば、こんなことは起きなかっただろう。性犯罪を助けた人々、事実と異なる主張をして二次加害に及ぶ人々の責任も厳しく問うべきだ。さもなくば、こうした犯罪の再発を防ぐことはできない。

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