昨年1600億ドルの貿易赤字を記録した日本、海外投資で2639億ドル稼いでいた

 1970-80年代、ウォークマンやトヨタ車などで世界の工業製品市場を席巻した日本は、物を売って稼いだ莫大な資金を海外に再投資した。総合商社は欧米、東南アジアなどに進出し、株式や不動産の購入、工場建設、海外法人設立を通じて経済領土を拡大した。ニューヨークを象徴するロックフェラーセンターが三菱地所の手に渡り、米国の大手映画会社コロンビアピクチャーズとユニバーサルピクチャーズが日本企業に買収された。

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 「ミセスワタナベ」と呼ばれる個人投資家も余裕資金を海外株式や外国為替取引に投じて稼いだ。大規模な投資が利益を生み、利益が再投資され、日本が保有する海外資産は1996年の2兆6000億ドルから昨年末には9兆9921億ドルへと約4倍に増えた。

 海外投資の急増は日本経済にプラス効果とマイナスの影響を同時にもたらす「両刃の剣」となった。まず企業が海外に流出し、国内製造業の空洞化が起きた。雇用が減り、日本の「失われた20年」の一因になったとされている。日本の自動車産業の場合、1990年代には国内での生産割合が圧倒的に高かったが、2010年には海外での生産割合が58%に達した。1999年から2009年までの間に日本メーカーの海外法人に勤務する従業員が42.6%増えたが、国内の従業員は17.5%減少した。

 一方で海外に保有する資産は世界で最多の政府債務、高齢化、長期にわたる低成長、低い労働生産性、エネルギー輸入国という弱点にもかかわらず、日本経済の支えになっている。日本は韓国、中国、ドイツのようなライバル国に押され、製造業の競争力をかなり失ったほか、エネルギーのほぼ全量を海外からの輸入に依存しているため、これまでのように貿易で多額を資金を稼ぐことができない。日本は昨年、エネルギー価格の急騰と円安、輸出減少が重なり、過去最大となる1600億ドルの貿易赤字を出した。昨年の韓国の貿易赤字(472億ドル)の約3倍だ。しかし、経常収支は686億ドルの黒字だった。利子、配当、賃金など海外で稼いだ資金の収支を意味する第1次所得収支が前年を22%上回る2639億ドルの黒字だったおかげだ。昨年のフィンランドの国内総生産(GDP・2520億ドル)を上回る資金を座したまま海外投資で稼いだことになる。同じ期間の韓国の所得収支黒字(229億ドル)の10倍を超える。

 製造業が海外に流出した部分をサービス業が取って代わり、日本経済の内需依存はさらに高まった。輸出入への依存度が低下し、世界的な経済危機が発生しても日本経済が受ける衝撃が緩和される側面もある。

 延世大学の成太胤(ソン・テユン)教授は「海外資産への投資で収益を上げ、国民所得が増えるのは良いことだが、商品やサービスの輸出でも着実に資金を稼げるようにバランスの取れた経済構造を維持することが重要だ」と指摘した。

チェ・ギュミン記者、金智燮(キム・ジソプ)記者

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