「北の核攻撃に反撃」想定…韓国軍が過去最大規模の機動・火力訓練実施

韓国軍「実戦的対応」に向けた合同演習

 韓国軍は15日、要人暗殺作戦が可能な「自爆キラードローン」をはじめF35Aステルス戦闘機、K2戦車、K9自走砲などが参加する過去最大規模の機動・火力訓練を行った。北朝鮮による核兵器とミサイル技術の高度化を考慮し、より実戦的な対応と防衛、反撃作戦を米軍と合同で実施した。今回の訓練は先月25日から今月15日までの期間に計5回行われたが、今月7日には韓国防衛産業の主要な輸出先であるポーランドの国防相が現場に立ち会った。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は第1延坪海戦の勝利から24周年となる15日に訓練場を訪れ「北朝鮮の無謀な挑発にはわずか一瞬のためらいもなく断固として対応する」との考えを示した。

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 韓国軍は15日「建軍75周年、韓米同盟70年を迎え、京畿道抱川市の勝進科学化訓練場で韓国軍創設から最大規模となる『連合・合同火力撃滅訓練』を実施した」「先端戦力を持つ韓国軍と米軍の計71個部隊、2500人以上の将兵、610台以上の装備が動員された」と明らかにした。火力撃滅訓練は1977年に最初に行われ、今回まで合計11回実施された。2017年4月の火力撃滅訓練ではK2戦車7両、自走バルカン砲5両、F15K戦闘機などが参加した。今回はK2戦車42両、防空兵器の飛虎複合防空システム各2台、K9A1自走砲53両、FA50などK防産主要輸出兵器が参加した。

 空中戦力では空軍5世代ステルス戦闘機F35A偵察ドローン16機、群衆飛行ドローン131機、爆発物除去ロボットなど無人兵器も初めて投入された。米軍のキラードローン「グレイ・イーグル(MQ1C)」も今回の訓練で姿を現した。在韓米軍基地に配備されたグレイ・イーグルはこれまでアルカイダやイスラム国(IS)など中東テロ組織の幹部暗殺に使用されてきた。

 この日の訓練は北朝鮮が戦術核弾頭搭載ミサイルを発射した場合など現実の脅威となる状況を想定して行われた。韓国軍は陸軍の最先端有無人システムの別名「アーミー・タイガー」などを使った反撃作戦も行った。韓国軍関係者は「北朝鮮の核兵器使用を想定した訓練が実施されたことはあるが、より高度化した北朝鮮核兵器とミサイルのレベルを実質的に反映し、それに対応する作戦を行ったのは今回が初めて」と説明した。

 韓国軍はこの日、北朝鮮が最前線に配備した長射程砲などで韓国の主要な基地を攻撃するシナリオを採用した。敵の挑発を伝える非常信号が鳴ると同時に、監視・探知資産(兵器)で北朝鮮長射程砲の位置を識別し、韓国軍のK9A1自走砲36発、多連装36発、K55A1を12発、米軍のM777を12発一斉に発射した。続いて群衆飛行ドローン100台を飛ばして追加の偵察活動を行い、自爆ドローンやアパッチヘリ、コブラヘリで、敵の中心基地を仮想した標的に数百発の火力を浴びせた。その後は特攻隊員らと機械化部隊が迅速に動き目標を確保した。

 尹大統領は訓練を視察し「敵の善意に依存する偽物の平和ではなく、われわれの力で国の安全を守ることが本当の平和だ」「敵と戦って勝つことができる、敵の見下すことのできない強い軍隊が大韓民国の自由と平和、繁栄を守ることができる」と述べた。尹大統領はさらに「この訓練場は1951年に米軍が初めて造成し、われわれが発展させた所だ」「同盟70年の歴史を象徴する場所で合同軍事演習が行われた。その意味は特別なものがある」とも話した。今回の訓練は韓国国防部(省に相当)の李鐘燮(イ・ジョンソプ)長官、国防革新委員会の金寛鎮(キム・グァンジン)副委員長、韓米連合司令官、米国防政策次官などが視察した。

盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者

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  • ▲多連装ロケットの発射を見守る尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領/韓国大統領室

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