「福島汚染水怪談」が生んだ塩の買いだめ…韓国で塩高騰(下)

■「海水成分の約3%…影響なし」

 多くの専門家は「汚染水の放出が『海水を蒸発させて作る天日塩』に影響を与える可能性はないと見ても差し支えない」という考えだ。慶煕大学原子力工学科のチョン・ボムジン教授は「(原発汚染水に含まれているとされる)セシウムとストロンチウムは多核種除去装置『ALPS(アルプス)』で取り除かれるため、海に放出されても韓国に影響を及ぼすことはない」「トリチウムも放出口から2-3キロメートル離れただけでも雨水に混じって出る水準へと濃度が下がる」と言った。それほど極微量の放射性物質が、海水成分の約3%に過ぎない塩に影響を及ぼすことはないというのだ。

【グラフ】食塩の販売増加率と塩の卸売価格の推移

 それでも天日塩の買いだめが続いているのは「ある種の今後の需要を見込んだ価格上昇現象」(CJ第一製糖関係者)という見方もある。一般個人消費者が不安から天日塩を買いだめし始めたのはつい2-3日前からの現象であり、卸売業者と企業がB2B(企業間取引)で「塩の価格が今後も上がり続ける」と見込んで購入に走ったために価格が上がり続けているという説明だ。CJ第一製糖関係者は「塩は買っておいてもすぐに腐ることもなく、長い間使えるので、買いだめしやすい商品」「このため、値上がりする前に大量購入しておこうという心理もかなり働いているのだろう」と語った。

 だが一部には、「福島原発汚染水放出『怪談』に需給の不均衡が加わって塩の価格が急騰している」という見方もある。ある食品会社の関係者は「今年は雨があまりにもたくさん降ったため、全羅南道新安郡で生産される天日塩の量がこの10年間の平均の70%ほどと大幅に減っており、塩の価格が高騰したのが1次的な原因だ。これに加え、ここ数年は風力発電をするということで塩田の面積が減り続けているため、生産量が減少しているのも一因」と語った。

 海洋水産部も同日の定例記者会見で、「現在、個人直接取引の割合は全取引の7-8%程度に過ぎず、天日塩の価格全体に影響を及ぼすほどではない」と述べた。同部はまた、「2011年に福島原発事故が起きてから昨年まで286回にわたり天日塩に対する放射能検査を実施してきたが、これまでに放射性物質が検出されたことは一度もなかった」と強調した。

宋恵真(ソン・ヘジン)記者、ユ・ジハン記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲今月14日午後、済州市内のある大型スーパーで、ガラ空きになった食塩の陳列棚をぼう然と見つめる買い物客。写真=news 1
  • 「福島汚染水怪談」が生んだ塩の買いだめ…韓国で塩高騰(下)

right

あわせて読みたい