北朝鮮の「宇宙発射体」残骸を引き揚げ 技術水準など把握へ=韓国軍

【ソウル聯合ニュース】韓国軍は15日夜、北朝鮮が弾道ミサイル技術を使って5月末に打ち上げ、朝鮮半島西側の黄海に落下した「宇宙発射体」の残骸を引き揚げた。軍合同参謀本部が16日、発表した。国防科学研究所(ADD)などの専門機関がこの物体を精密分析する予定だという。軍は他の残骸の捜索を続けている。

 引き揚げた物体は円筒形で、3段式ロケットの2段目の部分とみられている。直径2.5メートル、長さは15メートルに達する。北朝鮮が搭載したと主張する軍事偵察衛星とロケットの1段目、3段目はまだ見つかっていない。

 北朝鮮は5月31日、北西部の東倉里付近から軍事偵察衛星「万里鏡1号」を搭載した衛星運搬ロケット「千里馬1」を打ち上げたが、この発射体は1段目の分離後、2段目のエンジン点火に失敗し、韓国西部の全羅北道・於青島の西約200キロの海上に落下した。

 韓国軍は打ち上げから約1時間半後に落下地点で発射体の残骸とみられる物体を見つけ、引き揚げようとしたが、非常に重かったため水深75メートルの海底に沈んだ。現場に艦艇や航空機、軍の潜水士を投入して引き揚げ作業を行い、残骸発見から15日にして回収に成功した。潜水士が深海で物体にワイヤーを設置して海底から持ち上げ、艦艇のクレーンを利用して物体を艦艇の甲板に載せた。

 現場付近では中国の軍艦の活動も捉えられた。残骸の落下海域は韓中の「暫定措置水域」で、公海にあたる。国連海洋法条約上、公海に落ちた物体は早く引き揚げた方が所有権を持つ。

 韓国軍は引き揚げた物体をソウル近郊・平沢の海軍第2艦隊司令部に移した。千里馬1の全般的な性能や技術水準、外国製の部品を使っているかどうかなどを調べる予定だ。

 韓国と米国は今月上旬にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で、千里馬1の残骸を共同調査することで合意していた。韓米は2012年12月に黄海で引き揚げた北朝鮮の長距離ロケット「銀河3」の残骸を調べる際にも共同調査団を設置した。

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