世界で韓国だけが「福島汚染水怪談」、天日塩買いだめは喜劇か悲劇か【6月17日付社説】

 今月に入ってイーマートやロッテマートなどの大型スーパーで天日塩の売上が50-90%も急増しているという。天日塩とは海水を加熱処理せず、太陽の日差しのみで乾燥させて作った塩のことだ。インターネット・ショッピング・サイトでは昨年より塩の売り上げが8倍増えたケースもある。塩の産地から宅配を送る件数も昨年の10倍にもなるとのことだ。来月と予想されている日本の福島原発汚染処理水の海洋放出で、韓半島(朝鮮半島)周辺の海水が放射能物質により汚染されるとの懸念から、「あらかじめ塩を買っておこう」という買いだめ現象が起こっている。また、水産物の売り上げも影響を受けている。魚の卸売価格が40%以上も大幅に下がったことから、水産業者の団体では「韓国の水産物は安全だから誤った情報に動揺しないでほしい」と訴えている。

【写真】塩は品切れ、水産物コーナーは閑古鳥

 科学と常識から見れば本当にあきれたことだ。日本がやることを擁護する理由もないが、野党・共に民主党などが作り出す「怪談」は科学とはかけ離れている。福島から放出される水は太平洋を一周して4-5年後に韓国の海域に到達する。そのころには韓国の海水のトリチウム(三重水素)の濃度は現在の濃度から17万分の1ほど増えるだけだというのが専門家たちの説明だ。もし、放出された水によって海水が意味のある水準まで汚染されるなら、福島からの海流が韓国よりも先に到達するロシア、カナダ、米国、メキシコなどがまず反対するだろう。しかし、それらの国々で海洋放出を問題視するという話はない。フランスの再処理施設1カ所だけで福島原発の年間海洋放出予定量の500倍ものトリチウムを放出しているが、欧州諸国が抗議したという話もない。福島原発の汚染水を一気に海洋放出した後、福島からそれほど離れていない海域でとれた魚で韓国の遠洋漁業の漁獲量をすべて満たしたとしても、韓国人の追加被ばく放射線量は胸部レントゲン検査1枚撮影時の1000万分の1だという計算もある。

 科学的な事実ではこうした状況であるのにもかかわらず、天日塩の買いだめが行われ、水産物の消費量が減少しているのは、共に民主党と一部のテレビ番組が絶えず「汚染水の海洋放出は国民の健康にとって脅威になる」という「怪談」を広めているからだ。共に民主党は17日にも仁川で汚染水放出糾弾大会を開くという。4週間おきの週末に屋外で集会をしている。同党の李在明(イ・ジェミョン)代表は汚染処理水の放出を「井戸に毒物を入れること」とまで言った。共に民主党はかつて、スマートフォンよりも少ない終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の電磁波で人が焼け死ぬと言った。それとまったく同じだ。国会の多数党とテレビがこのようなことを言っているから、国民の多くが惑わされる現象が起こっている。共に民主党としては作戦成功なのだろうが、韓国の社会では科学と常識が再び丸め込まれ、操られている。

 共に民主党は「怪談」で国民の恐怖を増幅させておきながら、「漁業関係者被害支援特別法を作る」と主張している。法案発議議員は野党・正義党を含めて73人にも上る。一見すると漁業関係者のためのように見えるが、実際には漁業関係者をさらにどん底に追いやる行為だ。このような法案発議が恐怖を再びあおっている。「政府は法案を阻止する」と宣伝し、また政治的利益を得ようという考えだろう。狂牛病(牛海綿状脳症〈BSE〉)の時も経験したが、いくら明確な科学的データがあっても、それをねじ曲げて政治的な利益を得ようとする政党とテレビ番組が存在する。(李在明代表の土地開発疑惑である)大庄洞事件を「尹錫悦(ユン・ソンニョル)疑惑」だと信じる韓国人が40%もいる国で起きていることだ。これは喜劇なのか、それとも悲劇なのか。

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  • ▲14日、大田市内のある大型スーパーで、陳列台の数少ない食塩の袋を慎重に選ぶ買い物客。福島原発汚染水の海洋放出開始が迫り、天日塩など食塩の買いだめ現象が顕著になっている。(写真=聯合ニュース)

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