中国から離れたら世界が見えた…中国の対韓圧力が招いたどんでん返し

【特集:中国市場から脱却、世界市場に活路を見出す韓国企業】

(1)20年間の対中依存症、韓国企業が死活を懸けた体質改善

 韓国では輸出の減少と貿易収支赤字が長期化している。今年5月まで輸出は7カ月連続で減少し、貿易収支は14カ月連続で赤字が続いている。

【表】韓国の対米・対中四半期別輸出額の推移

 しかし、その裏で注目すべき変化が起きている。中国に対する輸出依存度が急速に低下しているのだ。2003年以降の約20年間、中国は韓国の輸出に絶大な影響力を持っていた。韓国の輸出全体に占める中国の割合は毎年25%前後で、常に2位米国の2倍に達していた。ところが、今年に入ると対中輸出の割合が19.4%まで低下し、04年以来19年ぶりに20%を割り込んだ。その一方で対米輸出は17.9%まで増え、格差が縮小した。こうした傾向が続けば、韓国の最大輸出先が中国から米国に変わる日が近いうちに訪れるかもしれない。

 最近の対中輸出減少は米中対立、半導体不況、中国の景気低迷と内需重視政策など主に外部要因が発端だ。しかし、対米輸出の増加は偶然ではない。対中輸出が18年の1621億ドルから22年の1558億ドルへと後退する間、対米輸出は727億ドルから1098億ドルに51%増えた。中国が危機を迎えた局面で、いち早く米国など他の市場で機会を見つけた企業の決断力と瞬発力がそれを可能にした。米国だけでなく欧州や新興市場でも「脱中国」に乗り出した韓国企業の活躍が目立つ。

 本紙は中国市場から脱却し、世界市場で新たな機会を見いだして成功している韓国企業の成果に注目した。例えば、現代・起亜自動車は16年に中国市場で自動車178万台を販売したが、中国が終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題で報復を開始した17年以降、販売台数が急減し、22年には34万台に急落した。普通の企業なら崩壊の危機だったが、現代自はインドなど第3の市場の開拓と高級化戦略で勝負に出た。

 Kフードの代表格であるCJも韓国製品に対する締め付けで中国事業が危機に直面すると、米国市場にグループの死活を懸けた。CJグループによる米州事業の売上高は17年の1兆1698億ウォンから22年には8兆2854億ウォンに急増した。

 エンターテインメント業界も驚くべき反転を遂げた。売り上げの20%を占めていた中国での活動が阻まれると、HYBE(ハイブ)、SM、YG、JYPなど業界各社は中国の代わりに欧米などの市場を開拓し、過去最高の業績を上げた。

 2000年代初め、急成長する中国に脅威を感じた欧米が反ダンピング規制を強化すると、中国の薄熙来商務相(当時)は「西欧よりはるかに貧しい中国がようやく彼らと競争しようとしているのに、門戸を閉ざすのはダブルスタンダードだ」と訴えた。しかし、中国が世界2位の経済大国になった後、中国は経済と貿易を政治・外交上の取引材料にし、多くの国に日常的に圧力をかけた。中国市場から締め出せば、韓国経済が揺らぎ、そうすれば韓国を容易に手なずけられるという計算が背景にあると多くの専門家が考えた。

 しかし、そんなことは起きず、韓国経済は中国市場への依存から脱却しても生き残る方法を学んでいる。世界経済研究院の全光宇(チョン・グァンウ)理事長は「最近の貿易赤字は20年間続いてきた対中依存症から抜け出す上で一種の成長痛だが、体質改善が終われば我々ははるかに堂々と中国に向き合うことができるだろう」と話した。

チェ・ギュミン記者

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