韓国病になった「塾通い地獄」の解消、誰が反対できるのか【6月20日付社説】

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が15日、公教育の教科課程で扱わない分野の問題を大学修学能力試験(修能)の出題から排除するよう指示して以降、塾通いの過熱を改革しようとの議論がなされている。教育部の修能担当局長と試験を主管する教育評価院長が辞任した。教育部長官は「学習塾だけが収益を上げる状況に対策を示せず申し訳ない」と謝った。尹大統領は最近、修能のいわゆる「キラー(超高難度)問題」に言及し、「弱者である子どもたちをもてあそんでいる」と述べたという。

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 こうした塾通い改革議論に学習塾のいわゆるスター講師は一斉に反発した。社会文化の有名講師は「教育は百年の大計なのに、大統領の思いつきの発言で皆が精神崩壊状態だ」と述べた。国語分野の講師は「より良い代案がなければ、生半可な介入は問題の解決策ではなく原因もなる」とし、とても怒っているという意味の「極大怒」というハッシュタグを付けた。数学講師は「子どもたちだけがかわいそうだ」と話した。スター講師の年収は100億ウォン(約11億円)を超えるとされる。2017年に「所得税が130億ウォンだ」と明かした人物もいる。他の講師もSNSやユーチューブなどで輸入車や高級住宅を自慢してきた。彼らは入試地獄で苦しむ学生、両親を相手に金持ちになった人々だ。入試地獄が彼らの市場であるわけだ。彼らの反発は塾通い地獄を解消しようという議論に対して、「そんなことができるのか」という皮肉に聞こえる。

 昨年韓国の親たちが塾費用に使った金額は26兆ウォンにも上った。実際にはもっと多いだろう。そうした塾教育は親を苦しませ、若者たちが子どもを産むことも恐れさせている。塾費用を出す親の能力が子どもの入試競争力を決める状況だ。そんな「スター講師」が韓国以外にどこにいるのか。

 塾教育問題は単に学校教育、または入試だけの問題ではなく、韓国社会のさまざまな欠陥が絡む深い病症の一つだ。塾教育地獄で大金を稼ぐ人々が心の負担を感じるのではなく、むしろ声高らかなのも症状の一つだろう。歴代政権が塾教育問題を解決しようとしたが、成功しなかった。一つを解決しようとすれば、別の場所から副作用が出る。政府も塾教育に関する突っ込んだ議論を通じて問題にアプローチし、言葉一つにも慎重でなければならない。

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  • ▲李周浩教育部長官/聯合ニュース

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